答えてくれる人
医学博士
藤田紘一郎先生
1939-2021。寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学を専門とし東京医科歯科大学名誉教授を務める。ユニークな視点と語り口から寄生虫博士、カイチュウ博士として人気を博す。著書に『笑うカイチュウ』、『腸内革命』、『脳はバカ、腸はかしこい』など多数
ストレス解消に血流改善。
でも好き勝手に飲むと……
新年をむかえ、お酒を飲む機会が増えていませんか? ふだんは健康のためにと控えている方もいらっしゃるでしょう。いやいや、晩酌だけはゆずれないという方もいるかもしれませんね(笑)。今回は「腸」の視点でお酒の話をしようと思います。
お酒の最大のメリットは、ストレスを緩和できること。現代人はさまざまなストレスに直面します。それを抱えこむと自律神経が乱れ、不安やイライラが募って不眠症・うつ病にもつながり、腸も汚れるいっぽう。
ですから、適量であれば緊張がほぐれてストレス解消になり、血流もよくなって疲労回復や動脈硬化を予防するなどのメリットがあります。好きな映画や本を読みながら、気の合う仲間と語らいながらのお酒はじつにおいしいです。
ではそのとき、からだの中はどうか。好きに飲み食いしていると肝臓ではアルコールの分解が優先され、ブドウ糖の代謝が後まわしになります。すると糖は中性脂肪となって体内に蓄積。肝機能を低下させ、血糖値が高くなり糖尿病などを招く原因となるのです。
つまり、糖質の高いお酒やおつまみはできるだけ避けた方がよいということになります。
おつまみはベジファースト
まずはキャベツから!
冷たいビールをゴクゴク飲んでプハッ! おいしいですよね。若いころはわたしもそうでしたから、その快感を否定はしません。
空きっ腹に一気にアルコールを流しこむと腸を直撃して荒らしてしまい、おなかも冷えて免疫力が低下。また、のどごしがよく適量を超えやすいので、ビールは最初の1杯にとどめるのが無難です。
ポリフェノールを含む赤ワインは、抗酸化作用にくわえ長寿遺伝子を稼働させ、若返りが期待できます。日本酒は残念ながら糖質は高め。しかし、アミノ酸が豊富で疲労回復や美肌効果があります。飲むなら1日2合まで、熱燗がおすすめです。
では、おつまみはどうでしょう。賢く飲むためにはいっしょに食べるものも重要。「お酒を飲んだら太った」という方はたいていおつまみに問題があるのです。
腸がよろこぶのは食物繊維、次にタンパク質。これを先に食べておくと糖質や脂質の摂取量、二日酔いも軽減してくれます。なかでも「食前キャベツ」は最高です。善玉菌のエサになるうえ、胃腸をゆっくり通過するのでおなかがふくらんで食べ過ぎを防止。飲む前からキャベツをバリバリ食べましょう。
野菜や豆腐、鶏肉などを入れた鍋もいいですね。必要なものがすべてとれて、からだも温まります。豆乳スープならパーフェクトです。
最後に。おいしくお酒を飲むためにはもちろん、日ごろから腸内環境を整えておく必要があることをお忘れなく。
今日からできる!
賢いお酒の飲み方はコレだ!
おつまみは食物繊維とタンパク質
食前キャベツやぬか漬け、冷や奴にマグロの山かけなど腸がよろこぶものを。スルメやエイヒレはよく噛むため脳も元気に!
温めて飲み過ぎ防止
お湯割りやホットワインのように温めると飲むペースがゆっくりになり、代謝もスムーズに。割り物はお湯やウーロン茶など無糖がよい
お酒と同じ量の水を
アルコールの分解には大量の水が必要。悪酔いや二日酔いも和らげるため、お酒の前や合間にも水を飲んで
先生のお気に入りは、焼酎のお湯割りとお刺身をサラダに乗せたカルパッチョだそう。まずはおつまみをかえるだけでも腸はご機嫌になります。お試しください!