答えてくれる人
医学博士
藤田紘一郎先生
1939-2021。寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学を専門とし東京医科歯科大学名誉教授を務める。ユニークな視点と語り口から寄生虫博士、カイチュウ博士として人気を博す。著書に『笑うカイチュウ』、『腸内革命』、『脳はバカ、腸はかしこい』など多数
糖質のとりすぎが
老化・病気を加速させる
前回の記事について、さっそく感想のお便りを頂戴しうれしく拝見しました。今回からより具体的な「腸を健康にする方法」をお伝えしていきますのでおつき合いください。
さて、わたしたち日本人が大好きな白米・パン・うどん。これらにはじつは大きな欠点があります。それは糖質を多く含むため食後の血糖値を急激に上げ、血管の大きな負担になるということです。
精製された白い食品は、腸の大好物である食物繊維やビタミン・ミネラルなどの栄養がそぎ落とされてしまっています。脳はバカなので満足感を得るために糖質を欲しがる。しかし健康のカギを握るしっかり者の腸はそれを嫌がります。高糖質な食事は老化の原因である活性酸素を生み、肥満や動脈硬化をはじめ、糖尿病や脳卒中などの四大疾病を招いてしまうのです。
「白米がダメだなんて」と嘆く声も聞こえてきそうですが、腸を元気にするにはズバリ、「白米」「パン」「うどん」はやめるべき。とはいえ、これまで食べてきたものをいきなり禁じるのはむずかしいですよね。
主食を置きかえて
腸がよろこぶ賢い食事を
そこでおすすめなのが、主食の置きかえです。GI値表をご覧ください。GI値とは「グリセミック・インデックス」のことで、食後の血糖値の上昇度を示します。これが低いほど血糖値は上がりにくく、糖はゆっくりと吸収されます。低GI値食品のなかでも玄米や全粒粉のパンなどは食物繊維量が豊富なので腸内細菌もよろこびますし、血糖値の上昇も抑えられます。
それに食物繊維が多い食品は顎をつかいますね。よく噛むことは胃腸の消化を助け、唾液の分泌をうながし活性酸素を抑えるだけでなく、脳のはたらきまで活発になるなどいいことずくめなのです。
最初はつらく感じるかもしれませんが、1週間もすると体調が驚くほど改善されて質のよい便が出るようになります。これをつづければ腸が元気になり、量もかたちも文句なしの便りが届くようになって、糖尿病や老化、認知症などさまざまな病気の予防になります。
最近は油分カットやカロリー制限にばかり注目が集まりがちですが、50歳を過ぎたらほんとうに必要なのは糖質の制限、つまり主食の置きかえです。じつはこれ、からだのエネルギーをつくりだすエンジンに秘密があるのです。くわしくはまた次回、じっくりお話しすることにしましょう。