老化を防ぎたいなら「腸の時間割」を守りなさい

答えてくれる人

医学博士

藤田紘一郎先生

1939-2021。寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学を専門とし東京医科歯科大学名誉教授を務める。ユニークな視点と語り口から寄生虫博士、カイチュウ博士として人気を博す。著書に『笑うカイチュウ』、『腸内革命』、『脳はバカ、腸はかしこい』など多数

暴飲暴食、夜ふかしが
からだをサビつかせる

また新しい1年がはじまりました。本年も引きつづき「腸を元気にする方法」をご紹介していきますので、どうぞおつき合いください。

さっそくですがみなさん、年末年始は暴飲暴食、夜ふかしなどをしませんでしたか? 楽しいことがつづいた反面、すこし疲れも溜まってきているころでしょう。

「健康のためには規則正しい生活を」とよく言いますね。「わかってはいるけど、つい……」。その気持ちは痛いほどよくわかります。でも、あえて言います。不規則な生活をつづけると大切な腸が疲労し、わたしたちはどんどん老いるのです。

腸の動きは「おなかが空いた」「眠い」などの体内リズムと連動しています。そのため、食べ過ぎや飲み過ぎといった乱れた生活を送ると、腸はすぐに衰えます。からだの中でいちばんのはたらき者ですから、疲れやすく、老いやすいのです。

そうなると大変です。体内に疲労物質が充満して肌や髪はボロボロになり、一気に老けこみます。やがて骨や脳をサビつかせ、骨粗しょう症や認知症までも引き起こす。腸を大切にしないと、寝たきりになるリスクをつくってしまうのです。

腸は時間とともにはたらきが変化。朝に腸を刺激すれば、切りかえもスムーズに。また、消化・吸収の時間帯に食事をとると、余分な脂肪にかわりやすいので要注意
※腸が収縮、弛緩をくりかえして、便を肛門まで運ぶ動き

おなかが「グ~ッ」と鳴ると
みるみる若返る

右のグラフをご覧ください。これがわたしたちの健康をつくる「腸の時間割」です。

じつを言うと、かつてはわたしも夜中まで研究、飲み会……と散々な生活を送っていました。そのころの顔は脂っぽく、髪はうすくなり、糖尿病まで患うというありさま。ところが、この時間割どおりに生活したら、肌ツヤがよく髪はフサフサ、血糖値やコレステロール値もみるみる正常になったのです。

この時間割でいちばん重要なのは、食事のタイミング。毎日同じ時刻に食事をとると、腸は若返ります。

なおかつ、食べる前の空腹感が強いほど効果は絶大。食間を4~6時間は空け、決まった時間におなかが「グ~ッ」と鳴れば完璧です。

となれば、おなかが空っぽの朝はきちんと朝食をとるべき。腸のはたらきが大きく切りかわる1日のはじまりに、しっかりと腸を刺激しましょう。

夜勤やシフト制の方が不調を抱えやすいのも、食事の時間がバラバラだから。体内リズムが乱れ、腸に負担がかかってしまいます。なるべく食事の時間はずらさずに、合間に仕事や睡眠をうまく組みこむよう心がければ、不調も軽くなるはずです。

「腸の時間割」を守り、愛しい腸を思いやる。そうすれば若々しく健康になれるのです。ぜひ実践してみてください。

今日から実践!
腸を動かす朝の習慣

朝食をとる

きちんと噛んで食べれば、腸が刺激されて排便もスムーズに。食欲がない方は、フルーツや具だくさん味噌汁などがおすすめ

日光のもとで3分深呼吸

腸に新鮮な空気が送られると、夜から朝のはたらきへとスイッチが切りかわる。同時に日光を浴びれば体内リズムの乱れもリセット

ラジオ体操をする

眠っていた全身の筋肉や骨が刺激され、からだがスッキリ目覚める。腸も元気に動いて、免疫力もアップ

ふだん不規則な生活の方は、耳が痛いと思われたかもしれません。でも、まずは朝食を食べる、同じ時間に起きるなど、できることからはじめれば大丈夫。すこしずつ腸が元気になっていくことに気づくはずです。

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2024/12/03 2:23:13