男性ホルモンの減少で
中高年は「冷え体質」
女性と男性、どちらが「冷え」やすいか? 答えは女性である。女性は熱をつくりだす筋肉がすくないため、男性にくらべて冷えが顕著だ。このことから「冷えは女性だけのもの」「男性は冷えない」と思いこんでいる人も多いが、それは大いなる誤解。一般的に、男性はある年代を境に冷えて体調をくずしやすくなる。
その年代とは40代後半。男性ホルモン(テストステロン)の量が関係している。テストステロンは通常、20歳ごろをピークになだらかに減っていくが、多忙さから運動不足になったり社会的な責任が増えてストレスを受けると、交感神経が過度に優位な状態がつづく。するとホルモン分泌量が激減。それが引き金となって自律神経が乱れることで血行が悪化し、からだが冷えるというわけだ。
不眠や抑うつにも関係
50歳以上は要注意
冷えがはじまった男性のからだではなにが起きるか? その影響は多岐にわたる。手足など末端の冷えを皮切りに、冷たい血液が胃腸に流れて消化不良や免疫力低下、血行不良で毛根に酸素や栄養がいきわたらないことで薄毛、肛門周辺の冷えから痔、気力や性欲の低下、抑うつ、不眠傾向……。あらゆる不調が一斉にやってくる。慢性的に冷えを抱え、じわじわと不調が増える女性とは対照的だ。
この事実を知る人はとてもすくない。考えてみれば、健康診断で血圧や中性脂肪を注意されることはあっても、「冷え」を指摘されることはほぼない。気づかぬうちに冷えが進行している男性も多いのだ。
近年では「男性更年期障害」という言葉も生まれ、専門のメンズヘルス外来も登場したものの、知名度は低い。もし、あなたやあなたの家族が男性で、中年期以降に胃腸の不調を訴えたり、外に出るのをおっくうがったり、急に頭髪が薄くなった場合、背後には「冷え」がある可能性を覚えておくと対策しやすいだろう。
要チェック!
男性ホルモンを増やすには?
運動
筋肉をつかうことでテストステロンが増加し、ストレス解消にも。筋肉が増えれば血行改善にもなり一石二鳥
良質のタンパク質
運動にくわえ、高タンパクな食事も重要。牛乳、卵、魚、肉、大豆などをとり、筋肉の維持を心がけて
スタミナ素材
ヤマイモ、ニンニク、ニラなど昔から「精がつく」といわれる食材は男性ホルモン増強に役立つとされる