なぜ、日本人の体温は下がりつづけるのか

快適さと引きかえにからだは冷えていく

「36.9℃」は微熱か、平熱か……。この数字はなにかというと、1954年初版の『医学大辞典』で発表された当時の日本人の平均体温。しかし、冒頭の問いに「微熱」と答えた人は多いのではないだろうか。

わたしたちの体温は年々下がりつづけ、最近では35℃台も珍しくない。しかも、健康的な体温といわれる36.5~37℃に達していない人が大半だという。自覚はなくてもからだは冷えている、いわゆる「隠れ冷え症」が蔓延する時代だ。

家電の普及や交通機関の発達、食の欧米化など、ここ50年でわたしたちの生活は劇的に変化。皮肉なことに、この便利な暮らしは熱を生みだす筋力や体温調節能力を徐々に奪っていった。いまや、子どもや若い男性までも冷えているというのだから、筋肉量や新陳代謝が低下した高齢者であればなおさらだろう。

冷えると酵素がムダに!? 病気のリスクも次々

自覚のない「隠れ冷え症」ほど怖いものはない。

からだが冷えると、免疫力は低下。毒素を含んだ冷たい血液が全身をめぐり、心臓病や脳梗塞といった深刻な病気を招く。また、一般的にがん患者の体温は35℃台が非常に多いという。

さらに、わたしたちの生命活動に欠かせない「酵素」。これは36.4℃以下になるとはたらきが弱まってしまう。つまり、どんなに酵素をとり入れたとしても、隠れ冷え症だと酵素不足に陥り、気づかぬうちに、さまざまな病気をよび寄せる。冷えは決してあまく見てはいけない。

そこでいま注意したいのが「秋の冷え」。クーラーなどの夏の習慣でからだは深部から冷え、体温を上げる力が低下。朝晩の寒暖差についていけず、冷えは悪化するいっぽうなのだ。

冷え切ったからだで冬をむかえるなんて想像するだけで恐ろしい。しかし、いまならまだ間に合う。とにかくまずは体温を測り、「冷え」を意識することからはじめてほしい。

いますぐチェック!
あなたの体温、大丈夫?

起床後すぐに体温を測り、空欄に記入しましょう。3日間の平均を出せば、より正確にわかります。あなたの平熱がどこに位置するか下の図と照らし合わせてみてください。

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2024/10/06 3:59:01