食生活を変える、腸内環境を変える!

医学博士 藤田紘一郎 ×
ミヤトウ野草研究所会長 近藤堯

「長生きの秘訣は、腸内細菌を増やすことだった」。そんな衝撃的な見出しを掲げた一冊の本が話題をよんでいる。アトピーやぜんそくなどのアレルギーから増えつづける突然の事態まで、あらゆる現代病の原因は腸内環境の乱れにあると書かれたその本のタイトルは、『腸内革命』。著者は東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏だ。

そんな藤田氏の考えに深く共感したのが『野草酵素』の生みの親、近藤堯会長。今回、東京都内の藤田研究室においてふたりははじめて顔を合わせた。

医学博士
藤田紘一郎

1939年中国東北部(旧満州)に生まれる。寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学を専門とし現在は人間総合科学大学教授、東京医科歯科大学名誉教授を務める。ユニークな視点と語り口から寄生虫博士、カイチュウ博士として人気を博す。おもな著書に『笑うカイチュウ』、『腸内革命』、『こころの免疫学』など

株式会社ミヤトウ野草研究所会長
近藤堯

新潟県立高田農学校卒業と同時に国立大宮家畜研究所に勤務し、研究生活をスタートさせた。戦後の食糧難解決のために家畜と飼料の研究を進め、酵素の役割に着目。そして昭和27年、酵素原液の試作・開発に成功。「生涯研究者」をモットーに、「酵素」、「発酵」の追求をつづける

昔の子どもは土とふれあい、
強いからだをつくっていた

藤田先生はもともと寄生虫学を専門に研究されてこられました。腸内細菌に注目しはじめたきっかけは、なんだったのでしょうか?

藤田 あれは15年程前。当時わたしはアレルギーを抑える物質がないか研究していました。調査対象はインドネシアの子どもたち。彼らは汚れた川で泥んこになって遊ぶのに、健康そのものでアレルギーもない。

近藤 著作で拝見しました。遠い異国のことなのに懐かしく感じましたよ。わたしも子どものころは泥んこになって野山を駆け回った。おなかが空くと野草をとりにいったりね。

藤田 ええ、彼らはまさに昔のわたしたちと同じでした。しかし、アトピーや喘息に悩む現代の日本の子どもとは明らかに違う。研究をすすめるうち、腸内細菌が彼らの免疫力を高めていることがわかったんです。

近藤 逆に言えば、現代の日本の子どもたちは腸内細菌が乏しく免疫力が低い。無理もないでしょう、いまの子たちは土にふれる機会を奪われている。

公園で土壌の質をたしかめるふたり。「妙高の土はこんなものじゃないでしょうね。一度伺いたい」と藤田先生
まだ土のついた妙高山のヤマタケノコ。とれたてで滋味に富み、市販品では得られない魅力がある

藤田 おっしゃる通り。子どもは泥んこになって遊ぶことで、土壌菌をとりこみ雑多な菌に耐えられる免疫力をつくる。しかし日本は1960年代から菌や微生物を汚いものとして排除し清潔志向に走った。そして1965年、最初の花粉症が発見される。

近藤 だからわたしは何十年も前から、「子どもには土をなめさせなさい」と言ってきた。当時は笑われるばかりでしたが……。

藤田 いまはわたしが同じことを言って、あちこちで笑われていますよ(笑)。

食の欧米化に添加物の害……
戦後、日本人の腸は荒れ放題

清潔志向もさることながら、戦後の食生活の変化が日本人の腸内環境に決定的な打撃を与えたと藤田先生は『腸内革命』で書かれていますね。

藤田 食生活において、いまの日本には2つの大きな問題があります。まず1つは食事があまりにも欧米型に偏り過ぎていること。かつて日本の食事は質素なものでしたが、腸がよろこぶ食材であふれていた。穀類、豆類、そして……

近藤 色とりどりの野菜や発酵食品。

藤田 そうです!

近藤 食物繊維、ビタミン、ミネラル、その他のフィトケミカル、そして酵素が豊富に含まれたものだ。

藤田 食物繊維は腸内細菌のエサになるし、腸内環境に野菜は欠かせない。しかし日本人は欧米食を歓迎し野菜の摂取量も減りつづけた。かたやアメリカは1970年代に野菜中心の食事を奨励。1995年、ついに日米の野菜摂取量が逆転してしまった。

昔の日本の食卓は素朴なものだったが、豆類、穀類、野草などの山の幸にはゆたかな栄養が隠れている
色とりどりの野菜をぬか漬けに。昔はどこの家庭にも母の手づくりの漬け物があったものだ
藤田先生の代表作『腸内革命』を読む近藤会長。自身の酵素研究と少なからず共通する点があるのか、ときおり深くうなずく

近藤 あとは添加物の害も見過ごせません。最近では漬け物にまで防腐剤や着色料がまぶしてある。

藤田 そう、2つ目の問題はそれです。利便性を求めるあまり日本人は添加物をつかうことにも食べることにも慣れてしまった。

近藤 化学的につくられた添加物は活性酸素を発生させるし、消化酵素のムダ遣いにもなる。厄介な存在だ。

藤田 結果的に日本人の腸は荒れ放題。アレルギーに限らずさまざまな不調にあえぎ、打開策を見いだせずにいるというわけです。

「かつての日本人の食事は、腸がよろこぶものばかりでした」(藤田紘一郎)
「色とりどりの野菜や野草、それに手づくりの発酵食品だね」(近藤堯)

ふたりがともに注目した、
伝統的な発酵食品の効用

問題は山積みですが、おふたりは日本の伝統的な発酵食品という共通の解決策も提示されています。腸内環境に対してはどのような効果があるのでしょう?

藤田 野菜の重要性はすでに述べましたが、発酵のすごいところはその栄養素をさらに高めるということ。ぬか漬けにしろ味噌にしろ、調べてみると実際にビタミンやミネラルといった栄養価が高まっているのだから驚きます。

近藤 酵素研究の立場から見ても発酵ほど頼もしいものはない。酵素のちからが高まっていることにくわえ、有用菌の活性も目覚ましいものだ。

『野草酵素』のビンを見つめる藤田先生。「1年2ヵ月発酵・熟成……。発酵の熱やスピードは食材によってさまざまですから、この期間を見極めるのにはずいぶん苦労されたことでしょう」

藤田 有用菌といえば、土壌菌と発酵における有用菌の類似性にわたしは注目しているんです。

近藤 さすが藤田先生ですね。発酵を促す菌は先ほど申し上げた土壌菌とほとんど同じもの。酵素のちからと相まって腸内細菌に好影響を与える。これは単独の乳酸菌ではむずかしい。人の手でつくった漬け物や味噌だからこそできるんだ。

藤田 ひとつの乳酸菌だけを入れたヨーグルトなどは、じつは意味がないんですよね。菌は自然界そのままのバランスで摂取してこそ人間のからだになじむことができるんですから。

腸内環境を変えれば、
ほんとうの健康が手に入る

「野草だより」の読者は酵素や食物繊維をとるよう普段からこころがけているので、一般の方より健康への意識が高いです。そんな読者のみなさんへ、最後におふたりからメッセージをお願いします。

藤田 まずは野菜、穀類、豆類を中心にした日本の伝統的な食事を基本にしてください。そして目先の健康法にとらわれないこと。乳酸菌の話もそうですが、どれかひとつの栄養素をとればよいというのはない。からだにしても、悪くなったところだけを処置すればよいというのはない。からだ全体、食生活全体で考えてほしい。

失われつつある日本の伝統的な食事。腸内環境を変える秘訣がそこかしこに隠れている。写真は妙高の家庭にて

近藤 わたしも同じ考えです。ただ、いまは全国的に地力が落ちているので同じ野菜でも50年前のような栄養価は期待できないかもしれない。それを補うのが、『野草酵素』の役目です。

藤田 食生活を変えれば、腸内環境は変えることができる。その先には必ずほんとうの健康が待っています。

ぜひとも「野草だより」の読者にも実践していただきたいですね。本日はありがとうございました。

すっかり意気投合したふたり。「イチョウがきれいに色づいていますね」(藤田先生)「近いうちにまた研究の成果を語りあいましょう」(近藤会長)

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2024/04/27 14:43:15