野草酵素の開発者、近藤堯が日本全国をまわり、野草酵素の原産地をたずね歩くシリーズ特集「近藤堯が心の国産をさがす」。奄美大島のパパイヤ、長野県の酵素りんご、北海道のエゾウコギに続き、今回の舞台は灼熱の太陽ふりそそぐ沖縄。彼は沖縄でたたかい続ける同志と再会し、そこで輝きを放つ果実を見つけたのです。
本土へ送っている
店はないのか
「本土に発送できる青果店に行きたい」
15年前、ミヤトウ野草研究所の近藤会長が沖縄へおとずれたときのこと。情報も伝手も何もない状態でひとりタクシーへ乗り込んだ。そう、野草酵素の原料であるパパイヤやパイナップル、ほか沖縄の強い太陽に負けぬ酵素たっぷりの沖縄野菜・くだものを、ひとり探しに向かったのだ。
「あの頃と変わらない行動力ですね、近藤会長」
彼の名は謝花良幸氏(60歳)。今では当たり前になった、いわゆる「おとりよせ」、本土発送専門の青果卸売の先駆者だ。
「謝花さんが集めたくだものの質は高かった。それはつくり手との信頼関係はもちろん、こだわりや想いがないとできないこと。彼に会ったとき、私と共鳴するものを感じたのです」(近藤会長)
「あの頃、安全でおいしいくだものを、気持ちをこめて仲間につくってもらっても、その良さは消費者に10分の1くらいしか伝わらなかった。今ではずいぶんマシになったとはいえ、まだまだ変わらない現実もあるんです。会長、ちょっと見ていただきたいのでいっしょに来てくれませんか」
べったりまみれた不安を
知らずしらずのうちに……
近藤会長を乗せた車は一路、那覇市にある、観光地で有名な国際通り市場へ。
「ほら会長、このパインを見てください」
店先には、無造作に陳列された2種のパイン。1,000円と300円。
「これ(安い方)は沖縄原産のものではない。なぜここに外国産のパインが? 確かに値段が安いし、形もいい。しかし、これでは外国産に手をだす消費者があとをたたないではないか。冗談じゃあない」(近藤会長)
日本全国をまわり原料を求める旅に出続ける近藤会長。しかしなぜ熱をもって国産にこだわるのか。質問してみると、「燻蒸」という言葉が返ってきた。
「燻蒸、いわゆる、作物収穫後の薬剤散布です。海外の有害虫を国内に持ち込ませないために、船や飛行機に積みこむ前に、密室でいっせいに薬剤を散布、駆除します。これは決して『人への安全(健康)』を守るためではないのです」
これにより、見た目はきれいでも「表皮」に薬剤がべったりついている作物が日本に入ってくるのだ。
「一般に、くだものや野菜は、外敵から身を守るため皮に栄養を蓄えます。それゆえ、皮と実のあいだの部分、ここに酵素をはじめたくさんの栄養を含みます。野草酵素の原料には皮ごと使用します。だからこそ、皮にべったり薬剤がかかった海外作物は、野草酵素の原料として使えません」(近藤会長)
そういえば、レモンティーやレモンピールなど、皮をそのまま口にすることもある。これは間違いなく薬剤を取り入れてしまっている。
「売り手も買い手も健康を第一に考えたくだもの選びをする人は少ない。いくら栄養が豊富でも、選ぶのはきれいで安いもの。これが沖縄の現実なんです」(謝花さん) 「もちろん消費者の選択の自由を否定するつもりはない。しかし、薬剤がべったりついた野菜・くだものを食べると、体は異物に対抗するため酵素を大量消費する。これでは酵素を補っているつもりでも逆効果になってしまう。私はそれがつらい」
皮ごと食べられる
安心レモンとは?
「会長、これは沖縄だけじゃない、日本全体の現実でもあります。でも、そのままにしてはおけない」
つづいて車で向かったのは、沖縄北部。やんばる(山原)と呼ばれる原生林地区。
「ここで、現実とたたかいつづける男がいますよ」
リゾート地から何10キロも離れ、しんと車も通ることのない広大な畑に到着。会長は降りるやいなや走り出し、パイナップル、レモンに近づき声を荒げる。
「おおこれは! 素晴らしい! 早速食べて確かめても!?」
皮を落としたパインにガブッと豪快に食らいつく。ときどきうなずきながら。続いてレモンはにっこり満面の笑みで皮ごと丸かじり。あいかわらず会長は酵素たっぷりのものに目がない。
「これほど『皮ごとそのまま食べられる安心感』は他にはないでしょう? パインもレモンも甘くてみずみずしい。光を放っているくらい、良質のものが採れています」(謝花さん)
この皮にもたっぷりの酵素が入っている。野草酵素にはもちろん皮ごと、丸ごと使用される。(パイナップルの上部へた部分は使用しない)
「色や形は一定ではないけど、おいしいでしょう? 農薬を使いたくないから手間はどうしても掛かって割りに合わないけど、これを待っている人がいるからさ、やめれんさ」(山代さん)
市場価格を外国産と比較すると、パインなら3〜4倍、レモンも2〜3倍くらいの開きがある。近藤会長が全国各地をたずね歩き、自分の目と舌でもって判断したこのレモンとパイン。野草酵素に入れる理由は、言うまでもない。
仲間がたくさん廃業した。
悔しくてしかたなかった
近藤会長が野草酵素の原料としてこのパイン、レモンを取りいれる前、謝花さんら沖縄の農家は、需要がないため、海外産の安いくだものに負け、悔しい思いをした。日本人のためにつくったくだものが、異国のくだものによって淘汰されてしまう。悲しい現実があった。
「仲間がたくさん廃業した。本当に良いくだものをつくっていたから、悔しくてしかたなかった。でも野草酵素のおかげで、このパインやレモンを全国の人に届けることができる。沖縄農家みんなの想いをのせて。こうやって会長もさ、直々に来てくれる。言葉数は少ないけど、強い想いを持っているのが分かるから嬉しい」(謝花さん)
「ありがたい。私も同様に、どんなにいい酵素、野草酵素をつくっても、誰にも分かってもらえなかった。それでもやり続けた。こだわりを捨てたくなかったから。それがあるから、今の私と野草酵素があるのです。外国産の作物すべてを否定するわけではない。でも、べったりと薬にまみれたくだものが日本に到着する、この現実はぬぐえない。法で定めた薬剤の使用制限値は満たしているかもしれない。しかし、私が求める酵素量の基準、安心の基準は満たしていないのは確かなんです」
近藤会長は現状を憂うが、それでも瞳の奥の光は消えない。いずれ日本が、本当に安心できる作物・食品であふれることを信じているから。「そのためには途中であきらめるわけにはいかない。私もたたかいつづける男のひとりですから」(近藤会長)