寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める……。歳とともに眠りの悩みは増え、コロナ禍のいま、さらに眠れない人が急増しているといいます。そこで今回は睡眠の専門家・白濱龍太郎先生に快眠法を伺いました。まずは、あてはまる項目にチェックを入れてみましょう。
答えてえてくれる人
医学博士
白濱龍太郎先生
RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長、日本睡眠学会専門医
いますぐチェックあなたはどのタイプ?
A
- 眠るまでに30分以上かかる
- 心配事やストレスが多い
- お風呂はシャワーで済ませがち
- 8時間は寝たいと思っている
- 毎日タバコを吸う
B
- 長く眠っても疲れがとれない
- 熟睡感がない
- 日中に強い眠気を感じる
- いびきがひどいと言われる
- 睡眠中、足がピクピク動く
C
- 予定より2時間以上はやく目覚める
- 一度目が覚めると再び眠れない
- 歳とともに早起きになった
- 気分の落ちこみやイライラがある
- 夜遅くまで起きていられない
D
- 夜中に目が覚める
- 何度もトイレに起きる
- よく悪い夢を見る
- 一度目が覚めると再び眠れない
- 夕方以降、緑茶やお酒を飲む
チェックがもっとも多く入ったものがあなたの不眠タイプです。
※同点の場合は各タイプにあてはまります。
A 入眠困難タイプ
眠ろうとするほど逆に目がさえてしまう。若い人から高齢の人まで、誰にでも起こりうる
こんな人に多い
真面目で神経質
喫煙者
睡眠にこだわりが強い
あまり思いつめず、昼寝をとり入れよう
なかなか寝つけず、ただ時間だけが過ぎていく。隣にはスヤスヤ眠っている人がいるのに、なぜわたしだけ……と焦ってしまいますよね。
もし昼間にボーッとしたり集中力が低下するときは、「思いきって昼寝をしてください」と白濱先生。横にはならず、机にふせたりイスに寄りかかった状態で15分も眠ればスッキリできるそうです。
夜は好きな音楽を流したり、やわらかな照明にかえるなどリラックスして過ごすことも大切です。
B 熟睡困難タイプ
長く眠っても満足感がなく、倦怠感や眠気が強い。専門機関の受診も視野に入れて
こんな人に多い
生活が不規則
睡眠時無呼吸症候群
休日は遅くまで寝ている
「10時だから寝る」は× 起きる時間を一定に
じゅうぶんな睡眠がとれているにもかかわらず、ぐっすり感がない。それは浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」のリズムが乱れることによって起こります。
まずは、就寝と起床時間の見直しを。寝る時間にこだわらないかわりに「朝は○時に起きる」と決め、休日やすこし眠いときも起きる時間を一定にしてください。そうすれば眠りの正しいサイクルができあがりますよ。
C 早朝覚醒タイプ
おもに加齢が原因。朝はやく目覚め、「まだこんな時間なのに……」と悩んでしまう
こんな人に多い
50代以上
責任感が強い
ストレスを抱え込む
抑うつ
D 中途覚醒タイプ
もっとも多いのがこのタイプ。一度や二度ではなく、何度も目が覚める人は要注意
こんな人に多い
50代以上
お酒やコーヒーを好む
持病がある(糖尿病、高血圧など)
なぜ歳をとると眠りが浅くなるの?
人は歳を重ねると早寝早起きになったり、眠りが浅くなります。これはごく自然な現象で、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量が減り、体内時計が前倒しにずれていくから。日中に眠気やだるさなどの不調を感じなければ心配ありません。
ただ、「もうすこし眠ろう」とそのまま寝床にいるとイライラしたり不安になってしまいます。布団を出てストレッチをしたり、本を読むなどして気分転換を。
「若いころはもっと眠れたのに、と悲観せず、いまの自分に合った睡眠を見つけましょう」(白濱先生)。
白濱先生の処方箋❶
最高の入浴法はコレだ! 首もみストレッチ
人は体温が下がると眠気がやってくるので、先に深部体温を上げておきましょう。寝る1時間前までに、39℃程度のお風呂に15分間入るのがベスト。副交感神経が優位になり寝つきがよくなります。
さらに、熱めのシャワーを首にあてながらおこなう「首もみストレッチ」は効果抜群。ここには太い動脈など多くの血管が集中しているので、血行がよくなり首のコリもほぐしてくれます。
白濱先生の処方箋❷
ズバリ、眠りによい食べ物は?
ぐっすり眠るためには「トリプトファン」が欠かせません。トリプトファンは、日中は幸せホルモンのセロトニンに、夜になると睡眠ホルモンのメラトニンに変化。牛乳やヨーグルト、バナナ、ナッツ類、豆腐や納豆、魚や卵にも含まれます。
白濱先生のおすすめは朝の味噌汁。朝ごはんを食べると体内時計も整い、消化器官や脳の活動もスタートします。おやつにはナッツをつまんでみては?
白濱先生の処方箋❸
心の特効薬! 二度寝は日光を浴びながら
あとすこしだけ……とまどろみの中で、幸せを感じる時間。朝の二度寝には疲れた心を癒す、すばらしい効果があります。
ただ、長過ぎると体内時計が狂ったり睡眠のリズムがくずれがち。10分を目途に起きましょう。窓際の日光があたる場所なら目を閉じていても脳に光が届くため、スッキリ目覚めて動きだせますよ。
脳の老廃物をそうじして認知症を予防!?
眠りは脳を休める時間でもあります。睡眠不足の日にミスをしたりボーッとするのは脳に疲れが残っている証拠です。
近年の研究では、睡眠と認知症との関係も明らかになりました。眠っている間は「アミロイドβ(ベータ)」という老廃物が多く排出されます。睡眠不足がつづくとアミロイドβが脳に蓄積し、アルツハイマー型認知症の一因に! ぐっすり眠って認知症を予防したいですね。
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