とれたては、生がおいしい

大漁! 海からいただく酵素ごはん

おいしく食べてからだにいい……。

前回、好評いただいた「酵素ごはん」。山形の郷土料理を紹介した第一回からガラリとかわり、今回のテーマは「魚」。酵素と聞くと野菜や発酵食品が思い浮かぶが、じつは新鮮な生の魚も酵素の宝庫。立派な「酵素ごはん」なのだ。

9月上旬、酵素ごはんを食べる会一行はとれたての魚を求め、日本一の水揚げ量を誇る漁港のまち、千葉県銚子市へ車を走らせた。

脂の乗りに、身のしまり
マグロの競りは目利きが命

都心から車でおよそ2時間半。太平洋に突き出た銚子の海は、北から来る親潮と南からの黒潮がぶつかる絶好の漁場だ。イワシ、アジ、マグロなどの水揚げで知られ、まちには魚料理の専門店や水産加工場が立ち並ぶ。早朝であればマグロの競りも見学できるというので、さっそく訪ねてみた。

時刻は午前7時半、第1卸売市場に入るとマグロがズラリ! 生のマグロはいまにも弾けそうなほど身がつまり迫力満点だ。それが約200本ごろり、ごろりと並ぶ様子にただ圧倒される。これでも今日の水揚げはすくない方という。

銚子の競りは声を出さない入札方式。静かな場内に、男たちが無言で駆け引きする緊張感が漂う
今日の水揚げはキハダ、メバチ、カジキ、ビンチョウ、クロマグロ。仲買人が手ばやく鮮度と質を確認する

「マグロの尾は尾先から30~40㎝で切っておく。仲買人は尾の断面を見て肉質を見極め、鮮度と質を判断するのさ」。と銚子漁港の加瀬哲也さん(49歳)。目利きが命の世界だ。

外の船着き場がにぎやかになり、アジの水揚げがはじまった。てきぱきと魚をトロ箱に移していく。とれたてのアジは目も口もヒレもすべて透明。見ているだけで食欲をくすぐられた。

肉の盛り上がり方、色、脂の乗りを見て値をつける。写真は取材日最高値4,500円/kgのメバチマグロ
今日はアジが豊漁。トロ箱がみるみるいっぱいに

おなかが空いてきたので、近くの食堂「海ぼうず」へ。店内は地元客でいっぱいだ。メニューにあるカキの唐揚げやキンメダイの姿煮も魅力的だが、今回のテーマは酵素ごはんなので生の魚をお願いしてみた。すると、刺身、なめろう、ユッケ、漬け丼、カルパッチョの5品が登場。「刺身ばっかりじゃ飽きちゃうだろ」とご主人。さすが、おいしい魚をさらにおいしく食べる方法をよくご存じだ。

いくら食べてももたれない
生の魚は酵素たっぷり

さっそく、皮がピカピカのサンマの刺身を食べてみた。脂がたっぷり乗り、噛んだ瞬間トロっととろけてごはんが進むこと! たれのからんだ肉厚のカツオ、サッとレモンをしぼったぷりぷりのキンメダイ……。いくら食べても食べ飽きず、あっという間に完食した。おなかいっぱい食べたが、酵素豊富な生の魚はまったくもたれない。これぞ酵素ごはんだ。

左上から時計まわりに、海鮮ユッケ、漬け丼、カルパッチョ、刺身、なめろう。食べ飽きないように、とのご主人の工夫がうれしい
コチュジャンをきかせた自家製だれが生の魚によく合う。ごはんが進む味だ

つづいて向かったのは、海を見ながら新鮮な魚を食べられる「一山いけす」。店内の大きないけすをのぞくと、巨大な伊勢エビが。さっそく刺身にしてもらった。食べるとほんのり甘く、予想以上に弾力があってビックリ。釣ったばかりの魚をお店に届けに来たハエナワ漁師、仁濱隆さん(63歳)が「とれたてだからおいしいでしょ! 11月はヒラメもいい時期だから、また来てよ」と笑顔を見せた。

魚を生で食べる文化は世界に誇れるもの。しかし昨今、消費行動は価格の安い輸入品や冷凍品に傾き、日本の漁業は衰退傾向にあるという。じっさい、取材でいった先でも後継者不足や漁獲量の減少といった話を耳にした。いまこそ、新鮮な魚の魅力をあらためて見直したいものだ。

そろそろ夕暮れ、東京に戻る時間だ。新鮮な魚が名残り惜しく、もう一度食べてから帰ることにした。「いらっしゃい!」と元気な声にむかえられ、ふたたび昼間の食堂へ。濃厚なうま味のホラ貝の刺身、脂が乗ったサンマの漬け丼、シソとショウガが香るなめろう、魚介のだしのきいた味噌汁……。昼に食べたばかりだが、新鮮な魚はいくら食べてもまったく飽きず、おかわりしてしまう。酵素をたっぷり含む食べ物をからだが本能的に欲しがっているのかもしれない。

新鮮な海の幸は、決して特別なものではない。早起きして港町まで出かければ誰でも食べられるもの。週末はすこしだけ足をのばし、おいしい海の酵素ごはんを食べにいってはいかがだろうか。

とれたてをそのままいただく「海の酵素ごはん」。すこし足をのばせば味わえるぜいたくだ

魚と酵素ごはん

酵素は生の野菜やくだもの、肉や魚に含まれる。魚は火を通さず食べれば立派な「酵素ごはん」。発酵食品であるイカの塩辛やくさやも酵素が豊富。また、酵素食同士は相性がよく、居酒屋の定番・マグロの山かけやイカ納豆もからだがよろこぶ「酵素ごはん」だ。

「海ぼうず」大将直伝! サンマのなめろう

3枚におろした新鮮なサンマにシソ、ネギ、おろしショウガ、味噌をくわえて包丁でたたきながら混ぜる。最後に白コショウと一味をはらりとかけ、薬味を添えれば完成。材料に酵素たっぷりの生の魚、野菜、発酵食品をつかい、刻む工程で酵素も活性化される。漁師めしの代表だ。

取材協力

海ぼうず
千葉県銚子市新生町1-36-11
☎0479-25-3339

銚子の魚にこだわる食堂。第1卸売市場の目の前だ。名洗直志さん(44歳)がサンマをおろしてくれた。「新鮮な青魚は生がいちばん!」

取材協力

一山いけす
千葉県銚子市黒生町7387-5
☎0479-22-7622

店内のいけすには、近海の魚やエビが。席から海が見える人気店

single.php

2024/02/23 10:15:33