
江戸時代に出版された『四季漬物塩嘉言(しきつけものしおかげん)』。漬物問屋・小田原屋の主人が記したこの本にはたくあんや奈良漬けなど64種類ものつくり方が(国文学研究資料館等所蔵)
いま、世界で漬物が注目されている。新型コロナウイルスの不安がつづく中、漬物を食べると免疫力が上がるという研究が発表されたのだ。
漬物は食卓の主役にはならないが、ないとやっぱり物足りない。古くから日本人の身近にあり、人びとの健康を支えてきた。じつは、陰の実力者なのである。
大根にトウガラシ、芋がら……軒下に吊るして冬支度。雪国の昔ながらの風景だ
食文化はこうして母から子へ伝えられてきた。手間を惜しまないおふくろの味もまた、次の世代へ残していきたい
ご飯に味噌汁、漬物は日本食の基本。質素ながらビタミンやミネラル、食物繊維に酵素と栄養満点
「漬物神社」とよばれる愛知県の萱津(かやづ)神社。お供えした野菜と塩が偶然おいしい漬物になり、万病を治すお守りにされたという。写真は香の物祭の様子
梅干し、たくあん、ぬか漬けに白菜漬け。聞いただけでも白いご飯がほしくなる。日本は漬物大国ともよばれ、その数は600種類を超える。
漬物の歴史はとにかく古い。縄文時代、海水に浸して干すと保存ができることを発見したのがはじまりだという。海に囲まれた島国で身近だった海水をつかい、先人たちは知恵と工夫によって漬物を生みだしたのだ。
また、四季がありたくさんの野菜がとれるため、その恵みを保存食にして冬を乗り越えてきた。とくに雪深い地域では漬物づくりが盛んだったそう。海外にも漬物文化はあるが、日本ほど風味がよくバリエーションも豊富な国はほかにない。
室町時代に入ると一気に広がりを見せる。漬け床も塩のみならず、醤油、味噌、麹、酒粕、酢などとにかく多彩。「香の物」とよばれるようになったのはこのころで、発酵により香りがよくなったことからお茶うけにも好まれた。
楽しい食感も魅力のひとつ。ポリポリ感がたまらないぬか漬け、シャキッとしてさわやかな野沢菜漬け、上品な甘みがクセになるパリパリのべったら漬け。おいしくて保存ができ、それでいて食べ飽きない。漬物はまさに「魔法の食べ物」だった。
ぬか漬けが家庭で食べられるようになったのは江戸時代。玄米にかわり、高級品だった白米が庶民にも広がりはじめたころだ。ピカピカのご飯を食べられるよろこびとそのおいしさに、なんと1日5合もの米を食べていたとか。
すると、奇妙な病気が流行する。全身の倦怠感やふらつき、手足の痺れ……脚気(かっけ)である。地方出身の武士が江戸で生活をはじめると症状が出ることから「江戸患い」とよばれ、長きに渡り国民病として恐れられた。
その後、「なぜかぬか漬けを食べるとケロリと治る」と噂になり、おいしく食べるだけで病気を治してくれるぬか漬けは食卓の定番となる。精米によりぬかに含まれるビタミンB1不足に陥ったことが脚気の原因であった。
日清戦争がはじまると漬物は食中毒や病気予防にも重宝され、軍の食糧として戦地へ。食べる物がなく貧しいときはたくあんをかじってなんとか食いつないだ。いつの時代も、日本人の食と健康を支えていたのは漬物だったはずだ。
しかし第二次世界大戦後、パンや麺食が普及し食の欧米化が進むと米の消費量が激減。食生活の変化とともに、漬物の出番も減ってしまったのである。
明治期に日本政府に招かれ、医学界の発展に貢献したドイツのエルヴィン・フォン・ベルツ博士はある日、東京から110km離れた日光を訪れた。その際、人力車で14時間半かかったが車夫はたったひとりで到達。驚いてなにを食べたか聞くと、「玄米のにぎり飯に梅干し、味噌大根の千切り、たくあん」と答えた。そこでベルツは肉を与えたらもっとすごいのではと食べさせたが、車夫は3日で息切れや疲労を訴え、以前のように走れなくなったという。
わが家自慢のおいしい漬物を持ち寄ってひと休み。同じナスを漬けても、塩加減や家に棲みついている菌のはたらきで味がかわるからおもしろい
農学博士 宮尾茂雄先生
東京家政大学大学院客員教授、全日本漬物協同組合連合会常任顧問。発酵食品や食品微生物に関する研究が専門。著書に『[日本全国]絶品漬物ブック』『漬物をまいにち食べて元気になる』ほか多数
「おいしく食べて健康」が叶う漬物だが、減塩志向の現代ではどうしても敬遠されがち。気になる塩分について、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄先生に話を聞いた。
「確かに塩がなければ漬物はできません。しかし、小鉢山盛りの白菜漬けで食塩は1g程度。意外とすくないでしょう?それより、じつはすごい健康効果があるんです」
たとえば、同じ量でも漬けると水分が抜けてカサが減り、サラダより多くの食物繊維がとれる。さらに、ぬか漬けはビタミンB1が豊富で漬ける時間にもよるが生よりもキュウリは9倍近く、大根では17倍にアップ!おいしくなって栄養価も高くなるとは優秀だ。
「干したくあんや千枚漬けには最近注目されているGABA(ギャバ)が豊富です。血圧上昇抑制作用や抗ストレス作用、睡眠の質を高めるなど現代人にうれしい効果があります。また、野沢菜漬けや白菜漬けの原料であるアブラナ科野菜は、機能性成分イソチオシアネートを含み、死亡リスクが低くなるという発表も。抗がん作用の研究まで進められているのです」
ほかにも大根やカブなど漬物につかわれる野菜の多くはアブラナ科野菜なのだそう。最後に先生はこう語った。
「忘れてはならないのが、いわゆる植物性乳酸菌のはたらきです。ぬか漬けや高菜漬けなどの発酵漬物は腸内環境を整え、便通改善や免疫力アップに若返りといいことずくめ。毎日食べてもらいたい健康食です」
あたり前に漬物を食べていた昔の日本人には、生活習慣病やアレルギーなどなかった。先人たちが知恵を重ね、わたしたちに伝えてくれたおいしい漬物はまさに名脇役であり、世界に誇る日本の発酵食品だ。漬物を食べないなんて、もったいない。
漬物にはカリウムが豊富。カリウムはナトリウムの排出をうながし、血圧の上昇を抑制する。食塩(塩化ナトリウム)を含む漬物だが、同時にカリウムも多く含むため高血圧を予防してくれるのだ。
出典:香川明夫監修『七訂 食品成分表 2019』女子栄養大学出版部(2019)より作成
最近手足が冷えるので『北の大地の行者にんにく』を飲みたいと思うのですが……。美容師の仕事をしているので、においが残るのでは?と心配です。
(北海道 女性 30代)
(回答者:『北の大地の行者にんにく』企画開発担当者 丸山さん)
健康のためにと『野草酵素』を飲みはじめたのですが、甘くてビックリです。野草の苦味を消すために、わざと甘くしているのでしょうか?
(香川県 男性 80代)
(回答者:ミヤトウ野草研究所 品質管理責任者 相羽さん)
防虫剤や肥料の扱いのむずかしさに四苦八苦していた藤田さんご夫婦。ところが、野草酵素農法をはじめてからは手入れがぐっとラクに!「色鮮やかな花がたくさん咲くし、葉もピンッと力強く広がって元気いっぱい!」(弘子さん)と大興奮です。
うれしい変化は庭一面に
勢いよく伸びたユリは、背丈が2mを超えたことも!「花も野菜も虫に負けず丈夫に育つんだ」とふたりともにっこり
静岡県掛川市 藤田幸男さん(64歳)弘子さん(61歳)
野草酵素農法歴:3年
「『野草酵素』をあげるだけで、植物の成長の勢いが段違い! わたしたち夫婦も毎日飲んでいて、長年悩んでいたおなかのゴロゴロがたった1週間でスムーズになったよ。まるで若いころのように元気がみなぎるんだ。酵素の活躍ぶりに、家族みんなでよろこんでいるよ」(幸男さん)
食物繊維や酵素たっぷりの和食をとれば善玉菌も大よろこび。反対に揚げ物など高脂肪な食事は悪玉菌を増殖させる。腸の声に耳を傾け、日和見菌を味方につけよう
みなさん、「腸活」という言葉をご存じですか?これは健康な腸を手に入れようという習慣のこと。そのためには、なにをすればいいか。まずは「善玉菌をとろう」と考える人が多いのではないでしょうか。
これまで世間では、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌ばかりがもてはやされてきました。しかし、腸内細菌のうち善玉菌と悪玉菌は両方合わせてもほんの3割程度。今回は残りの7割、「日和見菌」の話をしましょう。
日和見菌はその名のとおり、どっちつかずで優勢な方に味方する、ちょっとずる賢い性格をしています。善玉菌が優勢なときは善玉菌に味方して腸によいはたらきをしますが、悪玉菌が多くなると一変。有害な毒素を発生し、細胞のがん化や老化の促進、さらには脳卒中や心筋梗塞などさまざまな病気まで引き起こしてしまいます。
ただし、悪玉菌も人間には欠かせない菌ですから、完全に排除することはできません。増え過ぎると悪さをはじめるので、善玉菌を優位にしつつ、日和見菌を増やすことがポイント。
彼らが善玉・悪玉のどちらに味方するか。それ次第で腸内バランスがガラリとかわってしまうのです。
わたしたちのからだに棲むあらゆる菌は健康を守ってくれる大事な「友」だと藤田先生は言います。日和見菌とも仲よく共生していきたいですね。
クワ科クワ属
生薬名:ソウヨウ(桑葉)、ソウジン(桑椹)
花期は5月ごろ。雌雄異株(まれに同株)で、それぞれ若枝の葉のつけ根に花がつく
葉は卵形や広卵形で、不均一な切れこみがある
日本各地に広く自生する落葉高木で、高さは10mほど。夏に紫黒色に熟す果実は食用になる。
蚕が葉を好んで食べるため「食う葉」や「蚕葉(こは)」が転訛して「クワ」になったといわれる。
落雷を防ぐまじない「くわばらくわばら」。井戸に落ち農夫にふたをされた雷神が「自分はクワの木が嫌いだからこう唱えれば二度と落ちない」と言ったからだという説がある。
中国最古の薬学書『神農本草経』に記載があるほど生薬の歴史は古い。冷えや低血圧、滋養強壮などに薬効があるとされる。
昔はお蚕さまにあげていたよね。明治時代には日本各地で栽培されていたんだ。若葉は天ぷらやおひたしにして食べるとおいしいよ。