野草だより
129号
カテゴリ

特集

語り継がれる神秘の野草
──山の奥へ奥へ、アイヌの宝「プクサ」を探して──

かつてアイヌの人びとがプクサやキトピロ(祈祷蒜)とよんでいた野草がある。「ハルイッケウ(食料の要)」としても重宝されてきたその野草の名は、行者ニンニク。北国の山々を覆う雪がとけ、地元では待ちに待った野草採りのシーズンが本格化する5月。神秘の野草に出会うべく、北海道へと向かった。


特集
語り継がれる神秘の野草
──山の奥へ奥へ、アイヌの宝「プクサ」を探して──(2)



アイヌの伝統儀式では、祭壇に捧げる供物や宴の席でふるまわれる料理の材料にも行者ニンニクがつかわれていたという(下:『蝦夷漫画』札幌市中央図書館蔵)

病魔を祓う、万能薬
アイヌが重宝してきた野草

地元カーリングチームの大活躍も記憶に新しい、北海道北見市から約1時間半。途中、牛たちがのんびり草を食む雄大な牧場や山々を眺めつつ、道東エリアに位置する山中へと車を走らせる。

お目あては行者ニンニク。山を覆う雪がとけたころ、いちばんに収穫できる野草だ。もともと北海道の先住民族であるアイヌの人びとが「食べ物は神からの恵みであり、神とは自然そのものだ」という考えのもと、そのときに必要な分だけをとり、決してとり過ぎることのないようにとみずからを戒めて宝のように大切に扱ってきた。

言い伝えによると、貴重な栄養源であると同時に万能薬でもあったという。濃霧のときは伝染病の神がまぎれて降りてくるため、乾燥させた行者ニンニクを火にくべ、そのにおいで追い払ったとの話も残る。さらには肺炎や風邪、やけどや打ち身、消毒などあらゆる不調に用いられてきた。

北見市で山菜などの卸販売をおこなう、有限会社丸髙物産社長の髙田和城さん(55歳)はこう話す。

「北海道では子どものころから『行者ニンニクを食べれば元気になる』と親に聞かされてきました。1日1本、生で食べると風邪をひかないともいわれ、わたしもよく山でとってはそのままかじっていましたよ。おかげでこのとおり、健康そのものです」


特集
語り継がれる神秘の野草
──山の奥へ奥へ、アイヌの宝「プクサ」を探して──(3)

背の高いササの藪に分け入り、斜面をどんどん進む。熊にも注意が必要なため、野草採りの経験がじゅうぶんになければ、決して足を踏み入れることはできない秘密の場所だ



道中で見つけたコゴミも春野草の定番



かわいい花を咲かせるフッキソウ



小林さん(左)と髙田さん(右)。ふたりは中学校の先輩後輩という間柄。気心の知れたパートナーだ



行者ニンニクはユリ科ネギ属の多年草。「はかま」とよばれるこの赤い部分に、強いにおい成分がぎっしり



収穫時は斜面で低い姿勢をとるため、足腰への負担も相当なもの



生育年数によって葉が1枚から3枚に増えるが、発芽しても5年は1枚のまま。低地では3枚の葉をつけたものにはほとんど出会えないそう

成長するまで7年。
収穫できるのはいまだけ

行者ニンニクの旬はみじかい。勝負は4月の半ばから5月の初旬、ほんのわずかな期間。しかも、一度でも根からとってしまうと約7年、茎の部分から切っても3年はありつけない。成長スピードが遅く、何年も待たなければ食用の大きさにまで育たないのだ。

「食べたら次の日までにおいが残って、周りには嫌がられますけどね(笑)。それでもやっぱり、北海道の人たちは春になると必ず行者ニンニクを食べる。昔から野草採りをする人なら生えている場所を知っています。でも、誰にもその場所は教えません。とってきたものをみんなに分けたりはするけれど、ここ数年でとれる場所も減っていますし……ほんとうに貴重なものなんですよ」と髙田さん。長年のパートナーである野草採りのプロ、「採り子」の小林英輝さん(53歳)とともに、案内役を買って出てくれた。

車1台がようやく通れる山道に入るとデコボコ道になる。激しい揺れに不安を感じつつ走ること30分。車を停め、「じゃあついてきて」とふたりがスイスイのぼりはじめたのは、身長175㎝の小林さんの胸までササが生い茂る急斜面。長靴が沈むほどぬかるんだ土に足をとられながらも、山の奥へと進んでいく。小さくなる背中を必死で追いかけた。

息を切らしながら30分は歩いただろうか。先頭をいく小林さんの「見つけた! あったぞー」の声とともに、ようやく群生する行者ニンニクに出会えた。そこはほのかにニンニクの香りが漂っている。

「山の下の方では小さくてもみんなとられてしまうんです。だから大きく育ったものは、これくらい険しくて人が来ない奥地でしかとれない。茎を切るとツーンと刺激のあるにおいがするでしょ? 1日素手でとっていると皮がむけてしまうほど強い成分があるんですよ」

そう話す小林さんが、カマでていねいに茎の部分を切った行者ニンニクを見せてくれた。すこしニラにも似ているが、ニンニクのにおいを数倍にもしたような強烈な香り。このにおいにこそ、行者ニンニクの驚くべき力が秘められている。


特集
語り継がれる神秘の野草
──山の奥へ奥へ、アイヌの宝「プクサ」を探して──(4)

ご飯のおともにぴったりの醤油漬け。日が経つと味が染みこみ、風味の変化も楽しめる。醤油は豆腐にかけたりチャーハンの隠し味にも。食べると不思議とパワーがわいてくる



たっぷりの醤油に漬けこむ。生の行者ニンニクならにおいや辛味が強くなり、茹で物だと優しい味わいに。たくさんつくって通年で食す



おひたしも北海道の家庭では定番。ニラでもネギでも、ニンニクでもない味だがクセになるおいしさ



独特のにおいに健康効果が!
血液サラサラ、手足ぽかぽか

80種類以上の成分からなる行者ニンニクのにおい成分。それには脳梗塞・心筋梗塞を予防する血栓溶解作用や血小板凝集阻害作用がある。さらには体脂肪を効率よくエネルギーにかえることも広く認められている。

そもそも行者ニンニクの名は、冬山にこもった修行僧(行者)が雪どけのころにこっそり食べて体力を蓄えたことが由来。つまり、血液がサラサラになるうえ、厳しい山中での修行を乗りきる滋養にも満ちているというわけだ。数ある野草の中でも行者ニンニクが親しまれているのは、人びとがこうして身をもって体験してきたパワーがあるからなのだろう。

山を降りて立ち寄った道の駅でも、地元の野菜と並んで行者ニンニクが売られていた。

「農家が栽培した露地物もあるけれど、やっぱり山でとれたものがいちばん。自分でとるのがまた楽しいんだ。醤油漬けやおひたし、ジンギスカンにも欠かせない。いつも食べているから、こっちの人は年齢よりも若く見えるし病気知らずで元気だよ(笑)」とは、道の駅で出会った後藤さん。御年72歳にして現役の農家、じつに若々しくパワフルだ。

取材の終わりには、定番だという行者ニンニクのおひたしと醤油漬けをいただいた。

ニンニク特有の強いにおいは残るものの、滋味深い独特の風味やギュッとつまったうま味、すこし刺激のある辛味もクセになる。そしてなにより驚いたのは、行者ニンニクのぽかぽか効果! 手や足の先までじんわりと温かくなり、からだの芯からぽっかぽか。そうした効果がなんと翌日までつづき、山の疲れもふき飛んだのだ。まさに神秘の野草である。

人から人へと語り継がれ、この地に根づく行者ニンニク。その秘めたる力に触れた。


野草酵素農法 友の会

薄めてかけるだけで大変身
勢いよく咲く花々。色もこんなに鮮やか!

以前は化学肥料を定期的に与えるなど手入れが大変だったと語る森さん。しかし野草酵素農法をはじめてからは、水やりだけでも丈夫で色鮮やかな花が咲きはじめてビックリしたそう。ご近所の方からは「どうやって育てているの?」と質問攻めだとか。


ひときわ目立つ紫色からは深く、甘い香りが。
10年間枯れることなく、花数も年々増えているそう(ラベンダー)

花は大きく、葉はつややかに!

小ぶりだった花が勢いよく開花し、玄関を彩っています。葉もツヤツヤで色が濃く、触れると弾力が!
(写真は左から、ペチュニア、マリーゴールド、カラー)

岡山県岡山市 森喜美子さん(75歳)
野草酵素農法歴:7年

「毎朝飲んでいるわたしも風邪ひとつひかないし、肌もピカピカ。からだ年齢は30歳も若かったのよ(笑)。植物へのおすそわけだけじゃなく、兄や姉にも『野草酵素』を紹介。みんな元気そのものですよ!」


医者にかかる前に腸に聞け! 第21回

たった1日でボロボロになる「小腸」に栄養を与えなさい

わたしたちの健康を支える
縁の下の力持ちとは

乾物は水分が飛んでいる分、うま味が凝縮されている。野菜は色やハリツヤがいいもの、魚は新鮮なものを選ぼう



太陽が照りつける季節になりましたね。海水浴などでこんがりと日焼けをしたあと、ポロポロと皮膚がむけるのを誰もが経験したことがあるでしょう。これは「新陳代謝」といい、古い細胞が新しく入れかわるために欠かせない機能。じつは同じように体内の組織でも新陳代謝がおこなわれています。

その周期は部位によってもさまざま。たとえば筋肉や肝臓は1〜2ヵ月、血液は4ヵ月、全身の骨の細胞が入れかわるのは3年もかかります。では腸はどれくらいかというと、なんとたったの1日! 多忙な腸は粘膜がすぐに傷むため、毎日生まれかわる必要があるのです。

なかでもいちばん傷みやすいのは「小腸」。病気を発症しやすい大腸の陰に隠れがちですが、免疫、消化・吸収、ホルモン合成などの大役を一手に引き受け日々重労働をこなす縁の下の力持ちです。

そんな小腸が疲弊したら――食べ物から栄養が吸収できず免疫力は低下、さらにはうつ病のリスクまで上昇。極端な話、大腸がなくなっても人間は生きていけますが、小腸がないと生命を保てません。「あるもの」を与えて、新陳代謝をうながしてあげる必要があるのです。



ニセのうま味ではダマせない
大好物は「天然だし」

わたしがいつも推奨している食物繊維や発酵食品は、細かく言えば「腸内細菌」のエサです。小腸は腸内細菌と協力して免疫などの仕事をこなしますから、これらをとりつづけるのはもちろん大切。けれども、小腸の栄養源はまた別にあります。

あなたは毎日味噌汁を飲んでいますか? じつは、だしのうま味成分である「グルタミン酸」が小腸の大好物。これはアミノ酸の一種で、コンブや干しシイタケ、緑茶など日本の伝統食品に豊富に含まれます。グルタミン酸は疲弊した小腸粘膜を修復し、さらには免疫細胞のはたらきも高めてくれるのです。

最近は便利な顆粒だしやうま味調味料が人気ですが、これらのうま味成分は化学的に合成されたグルタミン酸ナトリウム。いわば「よく似たニセモノ」です。うま味は再現できても、小腸にとっては異物。天然のうま味しか受けつけないとは、とてもグルメですね(笑)。

しかし愛しい腸のためとはいえ、毎日だしをとるのはわたしでも大変。そこでおすすめなのが、水にコンブなどを入れて寝かせるだけの「水だし」です。冷蔵庫に一晩置くだけで、じゅうぶんにうま味をとり出せます。2~3日冷蔵保存できますから、大きな容器につくり置きすると便利ですね。さっそく今日からはじめてみましょう。

コンブと煮干しで水だしにするのが藤田先生流。寝る前にセットし、翌朝そのまま味噌汁にしているそう。汁ものならうま味をあますことなくとれ、夏場のクーラーなどで冷えた腸も温まって一石二鳥ですね。


病気知らず冷え知らず 第15回

熱中症や冷え対策に!サラサラ汗はいいことずくめ

ベタベタ汗は
ミネラル不足を招く!?

夏本番、すこし動くだけでも汗ばむ時季だ。汗は蒸発するときに体内にこもった熱を放出し、体温を一定に保ってくれる優れもの。しかし近年は制汗スプレーなどの商品が溢れ、不快なイメージが強い。あなたも「汗をかきたくない」と思っていないだろうか?

本来なら、汗は99%が水でニオイやベタつきはないはず。現代人はクーラーのつかい過ぎや運動不足などで汗をかく機会がすくなく汗腺の機能が衰えているため、体内にあるべきミネラルまで汗に混ざってしまうのだ。その汗に含まれる塩分がベタつきの元になる。

しかも、ミネラルは体温調節に不可欠なもの。不足すれば熱中症だけでなく、冷え症の原因にもなるのだ。



何歳からでも
汗腺はよみがえる!

逆に「サラサラ汗」をかけば体温調節がスムーズにおこなわれ、熱中症予防にも冷え対策にもなる。冷えが解消されれば免疫力が上がり、不調も抱えにくい。では、サラサラ汗をかくにはどうすればいいのか。それは「汗をかく頻度を増やす」こと。それだけで汗腺は鍛えられ、何歳からでも機能が復活する。

習慣的に汗をかく手軽な方法が入浴。基本は40℃前後のお湯に20分ほど浸かることだが、暑い夏は、塩風呂がおすすめ。浸透圧のはたらきによって血行が促進され、短時間でも汗が出やすい。温浴効果の高い入浴剤をつかうのも手だ。

サラサラ汗はすぐに乾くうえに肌の保湿効果もあるため、こまめに拭きとる必要もない。気持ちのいい汗をかいて、この夏を快適に過ごそう。


野草ずかん 第9回

アマチャヅル
甘茶蔓



ウリ科アマチャヅル属
生薬名:シチヨウタン(七葉胆)
花期は8~9月。黄緑色で星形の小花をつける
葉は5枚ほどの小葉からなる複葉



やぶや林に見られるつる性の多年草で、巻きひげを他物にからませてよじのぼる。雌雄異株で雌株は6~8mmの球形の果実を結ぶ。

葉を噛むと甘みがあるのでこの名がついたという。名前が似ているが、ユキノシタ科の「アマチャ」とは別の植物である。

平安時代の随筆『枕草子』に、細かく割った氷を金属の器に入れ甘葛(あまづら)をかけて食べたと書かれているが、甘葛をアマチャヅルとする説がある。

中国では絞股藍(こうこらん)とよばれ、咳止めや去痰・滋養強壮などに薬効があるとして古くからつかわれてきた。

アマチャヅルが含まれる商品

野草酵素

ゲルニン129

朝飲む酵素

野草茶


妙高の野草採り名人
石田さんのひと言

妙高の杉林では7月末からたくさんとれるね。つるを干してお茶にして飲むとおいしいんだよなあ。