野草だより
128号
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特集 伝承される日本の発酵食品

発酵させれば、こんなにうまい
──削りたては最高のぜいたく。本枯れ節の故郷へ──

焚納屋(たきなや)の1階で火をおこし、上階にならべたかつおをいぶす「焙乾」。カビつけ前の重要な作業だ

和食の基本である「うま味」。海外でも“umami”とよばれ、いま注目を集めている。コンブや煮干しと並び、うま味を語るうえで外せないのがかつお節だ。

日本の発酵食品といえば味噌や醤油が真っ先にあがるが、かつお節もまた微生物の力を借りてつくられる食材。煮ていぶしたかつおの身にカビをつけ、熟成させることであの奥深い風味が生まれるのだ。

とりわけ、カビを複数回つけて発酵させたものは「本枯れ節」とよばれ、おいしさも別格という。昔ながらの本枯れ節づくりを見るため高知県土佐市へ向かった。


特集 伝承される日本の発酵食品
発酵させれば、こんなにうまい ──削りたては最高のぜいたく。本枯れ節の故郷へ──(2)

本枯れ節づくりは早朝の生切りからスタート。かつおの身が手際よくおろされていく

頭を落としたかつおをおろす「合断ち」は昔から責任者の仕事



おろした身は煮かごの中へ。隙間をつくらずていねいに並べる



かつおを煮る釜からは、なんともおいしそうなにおいが。わずかに磯の香りも感じる



手間はかかるが、天然の薪でいぶすのがこだわり



霧吹きをつかってカビをつける。「カビは気をつかわないとしっかりはたらいてくれない。湿度や天候を肌感覚で見極め、細かく調整します」



熟成中の本枯れ節。コウジカビがふんわりと節を覆っている



かつおの身に欠けがないか、人の目でていねいに確認



ズシリと重く、たたくと乾いた音がするのがよい節。断面がエンジ色なら完璧だ



右は息子で後継者の太一さん。竹内社長に抱かれているのは未来の4代目? 親から子へ、子から孫へ、土佐の本枯れ節づくりが受け継がれていく



取材協力
(有)竹内商店
高知県土佐市宇佐町宇佐2824-3
☎088-856-0129

煮込んで、いぶして……
200年かわらぬつくり方

高知空港から車でおよそ1時間。戦後まもなく創業した竹内商店に到着した。ここでは、200年前と同じ製法で本枯れ節づくりがおこなわれている。

さっそく中に入らせてもらうと、生のかつおが作業台に移される際の「ドシン」という音に驚く。ドッサリ積まれたかつおは地元のおかみさん達の手で手際よく頭を落とされ、あっという間に3枚おろしができあがる。この弾力たっぷりの切り身が硬いかつお節になるというから、なんとも不思議だ。

「生のかつおを煮込み、何度も煙でいぶして水分を飛ばす。それをコウジカビで発酵熟成させることで、見た目も味もガラっとかわります」

教えてくれたのは、竹内商店社長の竹内昌作さん(65歳)。ではなぜ、ここまで手間をかける必要があるのだろうか?

もともとかつお節は、かつおを煮ていぶした時点で江戸や京都に運ばれていた。そのため輸送中に黒カビがつき傷みやすかったそう。しかし、江戸後期に有用菌であるコウジカビをつけてかつお節を守る方法が土佐で誕生。最初は保存目的だったが、コウジカビをつけたかつお節は特有のおいしさを持つことに人々が気づき、よりおいしくなるよう試行錯誤した結果、いまの製法になったという。

発酵中の節を見せてもらうため熟成室へ向かった。広さは4畳半ほどでお吸い物のようなよい香りがする。室温は27℃。この暖かさはヒーターによるものではなく、コウジカビがはたらくときに発する熱だ。かつお節づくりは酒造りのように泡が出たり、納豆のように糸を引くといった明確な外部変化がないため発酵食品であることを忘れがちだが、ほの温かい空気に触れ、確かに「菌」が息づいていることが感じられた。

竹内社長が本枯れ節を削ってくれた。削りたてを食べてみると、濃厚なうま味にビックリ! 深いこくがあり、うま味の余韻が心地よくつづく。

「じっくりと発酵させなければこの味は出せません。でも菌の力だけではダメ。発酵具合を見極めて細かく調整する人の目や手も大切ですよ」

本枯れ節づくりは気の抜ける工程がひとつもないといわれている。菌と人、両者がそろってはじめて特別なおいしさが生まれるのだ。


本枯れ節のつくり方

本枯れ節は完成まで半年かかり、全工程が手作業。つくり方はまずかつおを包丁でおろし、煮かごに並べる。これを熱湯で90~120分煮込み、樫や楢などの薪でいぶす作業を20~30回おこない荒節の完成。荒節の表面をそいでカビをつけ、発酵したらカビを払い落とし、またカビをつけ……を4回くりかえしてやっと完成する。江戸時代からかわらぬ方法だ。
なお、市販の「花かつお」は荒節の段階で削るため厳密には発酵食品ではない。



完成間近のかつお節を触ると、ふっとコウジカビが舞った。「粉のふいた」節は上質の証


特集 伝承される日本の発酵食品
発酵させれば、こんなにうまい ──削りたては最高のぜいたく。本枯れ節の故郷へ──(3)

黄金色に輝く一番だし。うま味たっぷりでほのかに甘い。ひと口だけ味見する予定だったが、ついついおかわり

シュッシュッと小気味よい音が厨房に響く。削りたてのかつお節は色が濃く、見るからにおいしそう



右上から時計まわりに、土佐豆腐、根菜汁、和風ハンバーグ、おひたし、だしがらのふりかけ。本枯れ節をつかえば、どんな料理もたちまち深い味に




取材協力
懐石料理 乃村
東京都豊島区南大塚3-47-5
☎03-3987-8026

削りたてがもっともおいしい
塩も醤油も不要

昭和44年に登場したパックの削り節におされ本枯れ節の生産量は減ったが、じつはいま静かなブームになっている。東京・日本橋にある本枯れ節の専門店は常時にぎわい、土佐市のふるさと納税では返礼の本枯れ節が大好評。本物の味を自宅でも、という人が増えているのだろう。しかも、かつお節は削りたてがもっともおいしい。家で削ればいちばんおいしい瞬間を味わえるのだ。やらない手はない。

削ったかつお節は、どのようにつかえばよいか? 東京にもどった取材班は、だしにこだわる懐石料理店「乃村」を訪ねた。

「本枯れ節のだしは、それだけでごちそうです」と女将の日向ひろ子さん。水とコンブの入った鍋に削りたてのかつお節を入れた瞬間、厨房は華やかな香りでいっぱいに。完成しただしは黄金色に透き通り、こくの深いこと! 塩や醤油など調味料をいっさい入れずにこの味を出せるのは、本枯れ節ならでは。

味噌汁やお吸い物はもちろん、このだしにゆでた青菜を漬けこめば、おひたしは主役級の存在になる。和食だけでなく、ひき肉に混ぜればうま味たっぷりのハンバーグが完成。くわえるだけでなんでも絶品になるのが本枯れ節の力だ。

かつて、かつお節を削る音はどこの家庭にも響いていた。食生活の変化とともに聞かれなくなって久しいが、この味を忘れてしまうのはあまりにももったいない。人の手と菌が協力してつくりあげる本枯れ節のおいしさを、いま一度生活にとり入れてはいかがだろうか。


教えて!荒木先生
ドッサリ生活の伝道師・荒木先生がおなかのこと、ドッサリのことをやさしく解説。

お肌がキレイになってきました

「ドッサリ出せばお肌もツヤツヤよ」


さとみちゃん 先生、なんだか近ごろお肌の調子がよくて、ツヤツヤしてるんです♪ 冬場はいつも乾燥してガサガサだったのに。

荒木先生 あら、よかったわね。最近ドッサリできているんじゃないの?

さとみちゃん そうなんです。クマザサ青汁のおかげでバッチリ! もしかして、おなかとお肌って関係あるんですか?

荒木先生 そのとおり。健康的なお肌のために、ドッサリは必要不可欠なのよ。

さとみちゃん どうしてだろう。おなかとお肌は離れていますよね?

荒木先生 おなかとお肌は切っても切れない関係よ。「肌は腸を映す鏡」といわれていて、おなかが荒れるとお肌にも影響が出るの。不要なものが溜まったおなかは、37℃の室内に生ゴミを置いているようなもの。腐敗して発生した毒素が腸から吸収されて、お肌に不調をもたらすというわけ。

さとみちゃん 考えるだけで、気分が悪くなってきました……。

荒木先生 乾燥肌に肌荒れ、吹き出物。お肌のトラブルはおなかのつまりが原因で起こることも多いの。

さとみちゃん いままでクリームを塗ってもダメだったのは、根本が解決していなかったからなんだ。

荒木先生 クマザサ青汁は食物繊維がたっぷり。おなかに溜まった不要物をからめとってドッサリ出してくれるから、お肌にもうれしいのよ。

さとみちゃん クマザサ青汁を飲むのがますます楽しくなりそうです。毎日ドッサリでツヤツヤお肌を保ちます!


医者にかかる前に腸に聞け! 第14回

「幸せ物質」をつくるのは脳ではなく、腸だった

便の量がすくないと
うつを引き起こしやすい!?

戦後、食の欧米化などの影響で日本人の食物繊維摂取量と便の量は減りつづけている。それと反比例して、うつ病患者数はここ10年で2倍以上に増加
出典:Bright-see.E:AM.j.Clim Nutr.39.823 1984/『腸内革命』藤田紘一郎(海竜社)より作成



たとえばノドが渇いたとき、コップに半分の水が入っていたら、みなさんはどう感じますか? 「水が飲める」とよろこぶ方もいれば、「半分しかない」と落胆する方もいるでしょう。人によって捉え方が異なるのはどうしてでしょうか。

わたしたちが幸福感を覚えるとき、脳内にはドーパミンやセロトニンという「幸せ物質」が分泌されています。ドーパミンはよろこびややる気を引き起こし、セロトニンは精神の安定をもたらします。これらがじゅうぶんにあれば幸せを感じやすく、不足すれば気分が塞いで悲観的になるのです。

近年の日本は、この幸せ物質が不足している人が非常に多い。うつ病患者はうなぎのぼりに増え、自殺者数は先進国の中でもトップクラスです。ゆたかで平和であるはずの日本で、いったいなぜなのか。

意外にも、その原因は脳ではなく腸にあります。じつはドーパミンやセロトニンは、腸内細菌がタンパク質を材料にしてつくり、脳まで運んでいるのです。終戦以降わたしたちの腸内細菌は減りつづけ、便の量も半分以下に。この腸内環境の悪化が、心の病を引き起こす要因となってしまったのです。



ゆたかな腸内細菌が
心と脳を若々しくする

反対に、自殺率がもっとも低い国はメキシコです。メキシコは経済的にあまりゆたかではありませんし、治安の悪化も懸念されていますが、明るくて親しみやすい国民性です。なぜなら、彼らは腸内細菌のエサである食物繊維の摂取量が世界一で、その量はなんと日本人の3倍。やはり腸内細菌の多さが、幸せ物質の生産量につながっていることがわかりますね。

こんなに深く脳と直結している腸の活動が低下すれば、その影響は精神的な部分だけにとどまりません。恐ろしいことに、脳が老化しやすくなることがわかっています。幸せ物質が分泌されないことで脳への刺激が弱まり、認知症やアルツハイマー病などのリスクがグンと高まってしまうのです。

できることなら常に幸せ物質で脳内を満たし、これらの発症を予防したいもの。しかし、幸せ物質は脳に貯めておくことができないため、日ごろから腸内細菌を増やす努力をし、生産しつづける必要があります。毎日立派な便が出ているかどうかが、幸せと若さのバロメーターとなるのです。

わたしの好きな詩に、「ときには20歳の青年よりも60歳の人に青春がある」という一節がありますが、まさにそのとおり。腸が健康であれば心も脳も衰えません。若い柳の枝のように折れないしなやかな心を持ち、何事にもよろこびや楽しみを感じられます。さあ、今年も腸を大切にして、健康で幸せな1年を過ごしましょう。

以前の藤田先生はすぐカッとなる性格だったそうですが、腸がよろこぶ生活をはじめたら空を眺めるだけで幸せを感じるようになったそうです。「心の健康」までも左右する腸、大切にしない手はありませんね。


病気知らず冷え知らず 第9回

「冷え」と「めぐりの悪化」負の連鎖に要注意!

冷えとドロドロ血は
切っても切れない関係!?

テレビや雑誌などで「ドロドロ血対策」といった特集が組まれると、つい見てしまう人が多いのではないだろうか。昨今、中高年の健康管理に欠かせないテーマとなっているが、じつは東洋医学では何千年も前から「瘀血(おけつ)」という概念が存在している。

瘀血とは、血液の粘度が高く流れにくくなっている状態のこと。これが倦怠感や頭痛などさまざまな不調を引き起こし、そして東洋医学において万病のもととされる「冷え」を招いてしまう。

冷えと瘀血は非常にやっかいな関係にある。なぜなら、瘀血が冷えを招くだけでなく、冷えが瘀血を引き起こすこともあるからだ。体温が下がると代謝が低下し、血中のコレステロールや脂肪、糖などが燃焼されずドロドロになりやすい。

つまり、冷えを解消しない限りめぐりは悪化し、ますます体温が下がるという負の連鎖に陥ってしまうのだ。



つまりが起こる前に
体温が上がる好循環を

恐ろしいことに、この連鎖が進むほど血管もつまりがちに。毛細血管がつまればからだのすみずみまで熱を届ける道が遮断され、太い血管がつまれば脳梗塞や心筋梗塞などの重大な疾患につながってしまう。そうなる前に、一刻もはやくからだの冷えをとることが不可欠だ。

ただし、自分は冷え症ではないという人も油断は禁物。この寒い時季はただでさえ代謝が下がり、血液の粘度が増しやすい。からだの末端である耳や手足の指先を刺激して痛みを感じたら、瘀血のサインである可能性が高いので注意が必要だ。

からだを温めるのと同時に、滞りやすいからだの末端をもんだり水分をこまめにとるなど、めぐりをスムーズにさせる工夫をして、この負の連鎖をはやく断ち切りたい。

めぐりのよいからだが体温を上げ、さらに血流がスムーズになるという好循環が生まれれば、冷え知らずで健康なからだが手に入るだろう。


野草ずかん 第1回

アザミ



キク科アザミ属
生薬名:ケイ(薊)
花期は5~8月で、管状花が集まった頭花をつける
葉は羽状に深く裂け、縁にはとげがある



本州、四国、九州に自生し、山野や道ばたでよく見られる多年草。アザミの種類は数多くあり、日本には100種類近くあるといわれる。

触れると痛いことから、傷むという意味のアザムがなまってアザミになった、という説がある。

「薊の花も一盛り」ということわざがある。目立たない女性も年ごろになれば美しくなるという意味。

天ぷらや和えものにして食べることができる。また、乾燥した根を煎じて飲むと利尿、むくみ、神経痛、健胃によいとされる。

アザミが含まれる商品

ゲルニン129


妙高の野草採り名人
石田さんのひと言

根っこはヤマゴボウとよばれて味噌漬けなんかにするね。春の新芽は天ぷらにして食べるとおいしいよ。