野草だより
128号
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特集 酵素ごはんを食べる会

とれたては、生がおいしい
──大漁! 海からいただく酵素ごはん──



おいしく食べてからだにいい――

前回、好評いただいた「酵素ごはん」。山形の郷土料理を紹介した第一回からガラリとかわり、今回のテーマは「魚」。酵素と聞くと野菜や発酵食品が思い浮かぶが、じつは新鮮な生の魚も酵素の宝庫。立派な「酵素ごはん」なのだ。

9月上旬、酵素ごはんを食べる会一行はとれたての魚を求め、日本一の水揚げ量を誇る漁港のまち、千葉県銚子市へ車を走らせた。


特集 酵素ごはんを食べる会
とれたては、生がおいしい──大漁! 海からいただく酵素ごはん──(2)

肉の盛り上がり方、色、脂の乗りを見て値をつける。写真は取材日最高値4,500円/kgのメバチマグロ



銚子の競りは声を出さない入札方式。静かな場内に、男たちが無言で駆け引きする緊張感が漂う



今日の水揚げはキハダ、メバチ、カジキ、ビンチョウ、クロマグロ。仲買人が手ばやく鮮度と質を確認する



地元の鮮魚店。キンメダイは銚子のブランド魚。高値でとり引きされる



今日はアジが豊漁。トロ箱がみるみるいっぱいに



銚子の食堂「海ぼうず」の名洗直志さん(44歳)がサンマをおろしてくれた。「新鮮な青魚は生がいちばん!」

脂の乗りに、身のしまり
マグロの競りは目利きが命

都心から車でおよそ2時間半。太平洋に突き出た銚子の海は、北から来る親潮と南からの黒潮がぶつかる絶好の漁場だ。イワシ、アジ、マグロなどの水揚げで知られ、まちには魚料理の専門店や水産加工場が立ち並ぶ。早朝であればマグロの競りも見学できるというので、さっそく訪ねてみた。

時刻は午前7時半、第1卸売市場に入るとマグロがズラリ! 生のマグロはいまにも弾けそうなほど身がつまり迫力満点だ。それが約200本ごろり、ごろりと並ぶ様子にただ圧倒される。これでも今日の水揚げはすくない方という。

「マグロの尾は尾先から30~40㎝で切っておく。仲買人は尾の断面を見て肉質を見極め、鮮度と質を判断するのさ」。と銚子漁港の加瀬哲也さん(49歳)。目利きが命の世界だ。

外の船着き場がにぎやかになり、アジの水揚げがはじまった。てきぱきと魚をトロ箱に移していく。とれたてのアジは目も口もヒレもすべて透明。見ているだけで食欲をくすぐられた。

おなかが空いてきたので、近くの食堂「海ぼうず」へ。店内は地元客でいっぱいだ。メニューにあるカキの唐揚げやキンメダイの姿煮も魅力的だが、今回のテーマは酵素ごはんなので生の魚をお願いしてみた。すると、刺身、なめろう、ユッケ、漬け丼、カルパッチョの5品が登場。「刺身ばっかりじゃ飽きちゃうだろ」とご主人。さすが、おいしい魚をさらにおいしく食べる方法をよくご存じだ。


特集 酵素ごはんを食べる会
とれたては、生がおいしい──大漁! 海からいただく酵素ごはん──(3)

左上から時計まわりに、海鮮ユッケ、漬け丼、カルパッチョ、刺身、なめろう。食べ飽きないように、とのご主人の工夫がうれしい



コチュジャンをきかせた自家製だれが生の魚によく合う。ごはんが進む味だ

取材協力
海ぼうず
千葉県銚子市新生町1-36-11
☎0479-25-3339
銚子の魚にこだわる食堂。第1
卸売市場の目の前だ



後継者不足のためか若い乗組員は外国人、という船も多い



とれたてをそのままいただく「海の酵素ごはん」。すこし足をのばせば味わえるぜいたくだ



取材協力
一山いけす
千葉県銚子市黒生町7387-5
☎0479-22-7622
店内のいけすには、近海の魚やエビが。席から海が見える人気店

いくら食べてももたれない
生の魚は酵素たっぷり

さっそく、皮がピカピカのサンマの刺身を食べてみた。脂がたっぷり乗り、噛んだ瞬間トロっととろけてごはんが進むこと! たれのからんだ肉厚のカツオ、サッとレモンをしぼったぷりぷりのキンメダイ……。いくら食べても食べ飽きず、あっという間に完食した。おなかいっぱい食べたが、酵素豊富な生の魚はまったくもたれない。これぞ酵素ごはんだ。

つづいて向かったのは、海を見ながら新鮮な魚を食べられる「一山いけす」。店内の大きないけすをのぞくと、巨大な伊勢エビが。さっそく刺身にしてもらった。食べるとほんのり甘く、予想以上に弾力があってビックリ。釣ったばかりの魚をお店に届けに来たハエナワ漁師、仁濱隆さん(63歳)が「とれたてだからおいしいでしょ! 11月はヒラメもいい時期だから、また来てよ」と笑顔を見せた。

魚を生で食べる文化は世界に誇れるもの。しかし昨今、消費行動は価格の安い輸入品や冷凍品に傾き、日本の漁業は衰退傾向にあるという。じっさい、取材でいった先でも後継者不足や漁獲量の減少といった話を耳にした。いまこそ、新鮮な魚の魅力をあらためて見直したいものだ。

そろそろ夕暮れ、東京に戻る時間だ。新鮮な魚が名残り惜しく、もう一度食べてから帰ることにした。「いらっしゃい!」と元気な声にむかえられ、ふたたび昼間の食堂へ。濃厚なうま味のホラ貝の刺身、脂が乗ったサンマの漬け丼、シソとショウガが香るなめろう、魚介のだしのきいた味噌汁……。昼に食べたばかりだが、新鮮な魚はいくら食べてもまったく飽きず、おかわりしてしまう。酵素をたっぷり含む食べ物をからだが本能的に欲しがっているのかもしれない。

新鮮な海の幸は、決して特別なものではない。早起きして港町まで出かければ誰でも食べられるもの。週末はすこしだけ足をのばし、おいしい海の酵素ごはんを食べにいってはいかがだろうか。


魚と酵素ごはん

酵素は生の野菜やくだもの、肉や魚に含まれる。魚は火を通さず食べれば立派な「酵素ごはん」。発酵食品であるイカの塩辛やくさやも酵素が豊富。また、酵素食同士は相性がよく、居酒屋の定番・マグロの山かけやイカ納豆もからだがよろこぶ「酵素ごはん」だ。




「海ぼうず」大将直伝! サンマのなめろう

3枚におろした新鮮なサンマにシソ、ネギ、おろしショウガ、味噌をくわえて包丁でたたきながら混ぜる。最後に白コショウと一味をはらりとかけ、薬味を添えれば完成。材料に酵素たっぷりの生の魚、野菜、発酵食品をつかい、刻む工程で酵素も活性化される。漁師めしの代表だ。


なるほどナットク引き算健康法 第20回

知らぬ間に浴びているブルーライトに注意

近年普及が進んでいるLED(発光ダイオード)の照明やディスプレイは、省エネやコスト面でメリットも多いものの、ブルーライトを浴びすぎる心配も……。

ブルーライトとは?
可視光線の中でもっとも紫外線に近い青色の光。エネルギーが強く目の奥の網膜まで到達するため長時間浴びつづけると眼精疲労の原因になる。また光刺激によって体内時計が狂い、睡眠障害や精神的疲労を引き起こすこともある。

無意識でも身のまわりにはこんなに多くのブルーライトが!

【今回のまとめ】

目の酷使は禁物!
就寝2時間前には
携帯電話・テレビの使用は
控えよう!

あなたは大丈夫? ブルーライトの足し算チェックシート

  • □テレビを見るのが好きだ
  • □家の照明はすべてLEDだ
  • □携帯電話の画面は最大まで明るくしている 
  • □パソコンをよくつかう
  • □目が疲れやすくなった

2つ以上あてはまる人は、過剰な足し算の可能性大!


野草のじかん 第33回(最終回)

蓬[ヨモギ]



キク科ヨモギ属
生薬名:ガイヨウ(艾葉)



日あたりのよい場所に生える多年草で、夏から秋にかけて淡褐色で筒状の細かい花をつける。地下茎を伸ばして繁殖し、群生することが多い。

よく燃えるから「善燃草(よもぎ)」、根茎を四方に伸ばすから「四方草(よもぎ)」など、名の由来には諸説ある。若葉を草餅の材料にすることから、モチグサともよばれる。

古代ヨーロッパではヨモギの香りに邪悪を除く力があると信じられ、旅行中にヨモギを身につけて魔よけにしたという。

タンパク質やビタミンなどの栄養が豊富。乾燥させた葉を煎じて飲むと、冷え症改善、解熱、消炎などによいとされる。


妙高の野草採り名人
石田さんのひと言

「妙高では背丈1mくらいにまで育つんだ。いつも、葉っぱを乾かしてお灸にしているよ。今回で最終回か……はやいもんだねぇ。5年もつづけられたのは楽しみにしてくれた読者のおかげだよ」


医者にかかる前に腸に聞け! 第13回

病気の発生を止めるには「NK細胞」を強化しなさい

がんも恐れる
体内最強の免疫システムとは

20代を境に活性は下がりつづける。高齢者にがんなどの病気が増えるのも、こうした免疫力の低下と決して無関係ではない
出典:多田・奥村「老化と免疫,現代化学11号(1984)」より作成



突然ですが、みなさんはインフルエンザにかかったことはありますか? 毎年の恒例だという方も、生まれてから一度も経験したことがないという方もいるでしょう。

この違いは、本コーナーでもたびたび話題にしている「免疫力」の差によるもの。前回も高い免疫力が花粉症を防ぐとお話ししましたが、免疫が守ってくれるのはウイルスやアレルギーだけではありません。

わたしたちのからだは約37兆個の細胞からできていますが、驚くことに、どんなに健康な人でも毎日数千個のがん細胞が発生しています。想像するだけで恐ろしい数ですよね。しかし、なぜ多くの方ががんを発症せずにすんでいるのでしょうか。

ここで活躍するのが、人体にとって最強の免疫システムである「NK(ナチュラルキラー)細胞」。その名のとおり「殺し屋」とよばれ、体内をくまなくパトロールし、絶えず発生するがんの芽や侵入してくるウイルスをやっつけてくれているのです。

ところが加齢とともにそのはたらきは低下し、ウイルスからがん細胞まであらゆる敵が野放し状態に。わたしたちにはNK細胞の活性を高める工夫が必要なのです。



丈夫な腸と陽気な心が
病気を遠ざける

全身ではたらくNK細胞ですが、つくられる場所は腸です。腸は毎日食べ物に紛れてくる病原菌や異物を処理する大規模な免疫器官。NK細胞はそこで敵を排除する力を鍛え、さらに腸内細菌から刺激を受けることで、がんと戦う力を備えます。

NK細胞を活発にする方法はもうおわかりですね。食物繊維や発酵食品をとって善玉菌を増やし、除菌生活をやめて丈夫な腸にすればいいのです。

しかし屈強で怖いもの知らずのNK細胞にも、とても繊細な面があります。じつは、その人の精神状態に強い影響を受けてしまうのです。

ある実験で食事中のマウスに電気刺激でストレスを与えたところ、いつもと同じエサを食べていたにもかかわらず、免疫力が低下してひどいアトピーになったという症例があります。つまり、せっかく腸によいものを食べてNK細胞を活発にさせても、ストレスを感じるとその活性は低下してしまうというわけです。

病気を遠ざけるのに、無理な節制やストイックな健康法はむしろ逆効果。腸と心がともに良好な状態であることが欠かせません。腸によい食事をとり、思いきり大声で笑えばNK細胞は元気にはたらいてくれます。

わたしも免疫力向上のためにいつも落語のテープを持ち歩き、講演中も冗談を多く織り交ぜるようにしています。何事も楽しむ心を忘れず「絶好腸」で過ごし、健康長寿を目指しましょう。



「病は気から」とよくいいますが、それは腸と心が密接な関係にあるからだったんですね。わたしたちがふだんとっている腸によい食事も、「おいしい」「楽しい」と笑顔でいただき、免疫力をさらにアップさせましょう。


近藤堯の酵素塾

女性は男性よりも有用菌を持っているので、漬物をつくるとよりおいしいものができるということを聞きました。ほんとうですか?
(埼玉県・女性・75歳)

女性は乳酸菌に代表される元気な有用菌を生まれつき持っているので、女性が手がけると発酵は活発になります。つまり、漬物をはじめとする発酵食品がさらにおいしくできあがるのです。じつは野草酵素の製造現場でも、野菜や野草、くだものの仕込みなどの重要な作業は、ほぼ女性がおこなっています。
なぜ男性よりも有用菌を持っているのかというとこんな説があります。女性は子どもを宿す。だから悪い病気などの外敵から赤ん坊を守るための菌が不可欠。そう考えると男性の有用菌がすくないのも納得です。
現在、漬物を自宅でつくる家庭は減ってしまいましたが、それは昔からお母さんの仕事でした。台所の仕事は女性がやるもの、という時代ではないと思いますが、発酵食品のことに限って言えば理にかなったことなのです。

妙高市はかんずりや日本酒といった発酵食品の産地として有名ですが、発酵食品づくりに向いた環境でもそろっているのでしょうか?
(長野県・男性・68歳)

妙高市に発酵文化が根づいている理由は、その気候にあります。夏は高温多湿、冬になると低温多湿という1年を通して発酵が進みやすい適度な湿気があること。さらには雪国という環境も発酵食品づくりに適しているのです。
たとえば「かんずり」は雪の上にトウガラシをさらす独特の製法でつくられています。トウガラシの強いアクを雪が吸収して甘みを引き出してくれるので、味はじつにまろやか。わたしの大好きな発酵食品のひとつです。
また、春になると山々から流れはじめる雪解け水は、ろ過された不純物のすくない水質なので日本酒の仕込み水としても利用されています。
妙高は全国でも有数の豪雪地帯。毎冬、大人の背丈以上に積もります。しかし、その雪はおいしい発酵食品をつくるのに欠かせない一面も持っているのです。


病気知らず冷え知らず 第8回

熱を生みだせないからだは「栄養失調」が原因!?

冷えを引き起こす
ビタミン・ミネラル不足

※健康維持のために推奨される摂取量を100とした場合
出典:厚生労働省「平成26年 国民健康・栄養調査」より作成

冷えの原因のひとつが「栄養失調」だということをご存じだろうか。飽食の時代に信じられないかもしれないが、昨今年齢を問わずその危険性が叫ばれている。

といっても飢餓からくるものではなく、糖質や脂質などのカロリー摂取はむしろ過多。足りていないのはビタミン・ミネラルといった栄養素だ。これらの不足が体温低下を引き起こすという。

じつは、ビタミン・ミネラルは食べ物から熱をつくり、体温を調節する機能を持っている。そのため、いくらからだを外から温めても、これらが不足すると体温は一向に上がらない。体温が1℃下がれば免疫力は30%も低下。熱を生みだせないからだは、病気のリスクをグンと高めてしまうのだ。



飽食の時代こそ意識を
熱をつくる栄養素の選択

そもそも、なぜビタミン・ミネラルが不足するのか。その原因は、カロリーはじゅうぶんでも、栄養素が抜け落ちた食品が増えたことにある。

たとえば、昔はなかったインスタント食品や出来合いの惣菜。一見からだによさそうな市販の野菜ジュースもそのひとつ。これらは見た目や味を重視してつくられ、大切な栄養素は捨てられてしまっているのだ。

食の簡便化の裏で、わたしたちは体温を失ってしまった。飽食の時代だからこそ、重要なのは食事の量よりも中身。ビタミン・ミネラルが失われていない新鮮な食材や未精製食品を選んでいきたいもの。1食1品からでもつかう食材を意識し、熱を生みだせるからだをつくりたい。