野草だより
126号
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特集 伝承される日本の発酵食品

菌と語らう、寒仕込み
――米、麹、酵母が醸すうまい酒――

米を原料に、黄麹菌と酵母で醸(かも)される日本酒。ふたつの菌が同時にはたらく並行複発酵という難易度が高く手間もかかる方法でしか生みだせないため、機械化の時代にあってなお、酒蔵ではいまでも杜氏と蔵人が手作業で日本酒を造っている。

寒仕込みともよばれる日本酒造りの最盛期にあたる2月上旬、日本で7番目に古い歴史を持つ長野県川中島の酒蔵、「酒千蔵野」を取材した。


※杜氏…蔵人を束ね、酒造りの指揮をとる現場の責任者
※蔵人…日本酒造りを担う職人
※並行複発酵…麹菌が米のでんぷんを糖にかえる糖化と、その糖を酵母がアルコールにかえるアルコール発酵のふたつが同時に進行する、日本酒特有の製造法


特集 伝承される日本の発酵食品
菌と語らう、寒仕込み
――米、麹、酵母が醸すうまい酒――(2)

酒千蔵野 千野麻里子氏(48歳)
1967年生まれ。天文9年(1540年)創業の酒造所、「酒千蔵野」の杜氏。みずから醸した「幻舞」は第54回長野県清酒品評会で優等賞受賞。マスクメロンのような華やかな香りと気品のある優雅でまろやかな味わいと評され、海外にもファンを持つ



杜氏と蔵人が息を合わせ、米を蒸しあげる



昨日仕込んだばかりの醪(もろみ)。無数の泡は酵母がアルコール発酵している証



発酵をうながす櫂(かい)入れ。櫂の感触で発酵具合を確かめる



酒造りでもっとも大切な製麹。蒸し米に黄麹菌をまぶし、手で温度を確認しながら何回も切り返す。この仕上がりが酒の味を左右する

主役はふたつの菌
人はそれを助けるのみ

武田信玄と上杉謙信の戦で知られる、長野県川中島。この地で酒造りをおこなう酒千蔵野は、天文9年に創業されて以来475年の歴史を持つ全国でも7番目に古い蔵だ。

ここで蔵人を束ね、酒蔵の指揮をとる「杜氏」は、蔵の長女の千野麻里子氏(48歳)が務めている。

「長年、酒蔵は女人禁制でしたけれど、後継者不足や女性の社会進出が進んだことで女性杜氏が増えてきました。酒造りは力仕事が多く男性中心と思われがちですが、主役はあくまで菌。わたしたちは菌がよい状態で米を醸せるように助けることが仕事なので、性別の違いはあまり問題になりません」

千野氏の言うように、日本酒の仕込みは生きた菌が相手となるため、細やかな人の手が欠かせない。たとえば、蒸した米に麹菌をふりかける動きの微妙な違いが酒の味に影響するため、この作業は必ず杜氏がみずからの手でおこなう。また、麹菌を繁殖させる製麹の工程では、48時間つきっきりで麹室の温度調整をしなければ酒のうま味を引きだす麹にならない。そのため温度が下がればマットを巻いて温め、上がれば水で冷やし……と菌のご機嫌をうかがうように尽くすことが求められる。


特集 伝承される日本の発酵食品
菌と語らう、寒仕込み ――米、麹、酵母が醸すうまい酒――(3)

発酵が進み、米の粒が溶けた醪。絞れば酒と酒粕に



酒蔵の軒に下がる杉玉は新酒ができた目印。蔵人の手づくりだ



先代の杜氏から受け継いだ木製の櫂棒。手入れしながら大切につかう



表紙で杜氏が蒸し米にかけていた黄麹菌。この量で約1400升分の酒になる



居酒屋にて、自分が醸した酒の評判を尋ねる杜氏。若い人にも人気と聞き、思わず笑顔



昔の酒造りの道具。道具がかわっても、菌と対話する姿勢はかわらない


取材協力
酒千蔵野の日本酒が飲める居酒屋
味な隠れ家 たのしや哲
電話 026-224-3855

どんなベテランでも
毎年、一年生

日本酒造りは荒々しいもの、というイメージを抱く人も多いが、じつは、繊細な作業の連続なのだ。

しかし、どれだけ細やかに気をつかってもうまい酒ができるとは限らないという。その理由を千野氏はこう説明する。

「米の出来も毎年違えば、気温も湿度もなにひとつとして前年と同じことはありません。ですから、どんなベテランの杜氏でも酒造りは毎年一年生。日ごと樽ごとにかわる酒と菌たちの些細な変化も見逃せません」

日本酒の製造に教科書はあっても、正解はないという。この酒は100%の出来、と納得するものを造れる機会は一生かけても訪れるかわからない、と千野氏はつづける。だからこそ、どの杜氏も蔵人も全身全霊を注いで仕事にあたるのだ。


杜氏の語源

杜氏という名称の由来は諸説ある。神社でお神酒を造る「社司」が変じたとも、リーダーを意味する「頭司」から来たともいわれている。

なかでも有力なのが、古語で主婦を指す「刀自」説。酒造りは男性の仕事と思われがちだが、その起源は縄文時代後期に米や木の実を噛んで吐き出したものを野生酵母で発酵させた「口噛みの酒」といわれ、神事の際に巫女が造っていた。酒が経済的価値を持つ鎌倉時代になると組織的な製造にかわり造り手も男性に変化したが、言葉はそのまま残ったと考えられている。


特集 伝承される日本の発酵食品
菌と語らう、寒仕込み ――米、麹、酵母が醸すうまい酒――(4)

長野県の酒造米、美山錦で造った「幻舞 純米吟醸」はライチのような華やかな香り。ほかに7つの銘柄を飲ませてもらったが、原材料が米と米麹のみということが信じられないほど多彩な味わい。この違いを生みだすのが杜氏と蔵人の技だ



杜氏を支える蔵人たちと。3人の蔵人は20代から40代とみな若い

受け継いだものを
次の世代へつなげていく

このように、うまい酒は昔ながらの手間と時間をかけた菌との対話なくしては生まれない。それゆえに厳しく、挫折して蔵を去る人もすくなくない。杜氏の後継者がおらず廃業する蔵もあるという。

けれど、明るいニュースもある。洋酒に押されがちだった日本酒のうまさや味わい深さが見直され、いま静かなブームとなっているのだ。それにともない日本酒を愛する若者が増え、酒千蔵野にも3人の若い蔵人が入った。

「彼らにいま、米の選択から醸造まですべてひとりでおこなう『責任仕込み』のお酒を任せています。わたしも修行中、先代の杜氏から同じ課題をもらって必死にお酒を造り、技術以上に酒造りへの想いを受け継ぎました。同じように、次の世代につなげていきたいですね」

数百年以上かけて培われてきた繊細な手法が伝承されていかなければ、日本酒は廃れてしまう。だからこそ、杜氏は酒を醸すだけでなく、人を育てることもまた大切な仕事なのだ。

3月下旬までつづく寒仕込み。今日もまた、杜氏と蔵人たちが菌と語らいながらうまい酒を醸しているのだろう。


教えて!荒木先生
ドッサリ生活の伝道師・荒木先生がおなかのこと、ドッサリのことをやさしく解説。

旅行にいくとドッサリできません

「旅のおともはクマザサ青汁よ」


さとみちゃん すこしずつ春が近づいてきましたね。わたし、桜が咲いたらお母さんとバスツアーにいく予定なんです!

荒木先生 あら、いいわねぇ。母娘で旅行なんてうらやましい。

さとみちゃん えへへ。でも、お母さんが「旅行中は便秘になっちゃうからイヤだわ~」って心配していて。

荒木先生 わたしにも経験があるわ。旅行って楽しいけど、じつはからだはストレスを感じているの。腸も緊張状態にあるから、動きが鈍くなってつまりやすいのよ。

さとみちゃん へぇ~、そうなんだ。バスに乗るとトイレも気になっちゃいますよね。

荒木先生 ツアーだと時間に制約があって、思うようにトイレにいけない。そうなると水分を控えてしまうのよね。

さとみちゃん そうそう! いきたいって思っても、ほかの人に迷惑をかけたくないからガマンしちゃう。あれはつらいですよね。

荒木先生 それに食事もやっかいよ。ふだん食べないものを食べたり、ビュッフェ形式だと栄養バランスが偏って食物繊維が不足しがち。ますますおなかがつまってしまうわ。

さとみちゃん う~ん。楽しい旅行も、おなかにはよくないってことですか……。

荒木先生 そう落ちこまないで。旅行中もドッサリできるようにアドバイスしてあげるわ。まずは出ても出なくても、いつもと同じ時間か比較的ゆっくりできる朝に余裕を持ってトイレタイムをとってね。気持ちにゆとりが出るとおなかの動きも活発になるのよ。

さとみちゃん はい。それにドッサリに欠かせない“水分”ですね。

荒木先生 そのとおり。なるべく意識して、水分を多くとるように心がけましょう。緑茶やコーヒーなど利尿作用のあるものは避けて、水や麦茶がいいわね。そして、旅行中こそクマザサ青汁が強い味方になるわ!

さとみちゃん じつはわたし、前に旅行カバンに入れたまま飲み忘れちゃったことがあって。

荒木先生 もう、ダメじゃない。せっかく持ち歩きに便利なスティックタイプなんだから、常に身につけているバッグやお財布に入れておかなきゃ。旅行中はいつもよりたっぷりのお水で、朝と夜に1包ずつ飲むのもおすすめよ。

さとみちゃん わかりました! 先生のおかげで快適な旅になりそう。お母さんにもさっそく教えます!




なるほどナットク引き算健康法 第13回

化学調味料を引き算する!

いまや調理には欠かせない存在となった化学調味料。便利な反面中毒性が強く、味覚障害をも引き起こしかねないということをご存じだろうか?

化学調味料とは?
味覚を刺激する物質を化学的に精製したもの。「調味料(アミノ酸等)」などと表示される。代表成分としてグルタミン酸Na、イノシン酸Naなどが挙げられる。


【今回のまとめ】

醤油や塩、酢、みりんなどをつかい
家庭でつくれるものは手づくりを!

あなたは大丈夫?
化学調味料の足し算チェックシート

  • □料理にはうま味調味料が欠かせない
  • □原材料を見ずに調味料を買いそろえている
  • □味つけはもっぱら市販のタレや顆粒だしですませる
  • □冷凍食品に頼りがちだ
  • □コンビニ弁当やファストフードをよく食べる

2つ以上あてはまる人は、過剰な足し算の可能性大!


野草のじかん 第23回

蔓菜[ツルナ]



ツルナ科ツルナ属
生薬名:バンキョウ(蕃杏)
またはハマジシャ(浜千舎)



北海道西南部以南の砂地に自生する多年草。茎がつる状に地面を這い、葉が食用になることにちなみその名がついた。

海辺に多く見られることからハマナ、ウミヂシャともよばれる。種子は海流にのって分散するため、東南アジアや南米など世界各地に広く分布する。

三角形の葉は肉質だが、水分に富み柔らかい。江戸時代の生物学書、「大和本草」には浜藜の名で記され、「嫩葉を食す。実は大豆の如し」とある。

胃潰瘍や胃酸過多、胸焼けに効き目があるとされ、水で煎じて煮つめたものは生薬として利用される。


妙高の野草採り名人
石田さんのひと言

「春から秋にかけて、新芽の伸びる茎先を選んでつめ先でちぎるように摘むよ。クセがないから、サラダやおひたしにはもってこいだね」


医者にかかる前に腸に聞け! 第3回

「長生きエンジン」を動かして病気を遠ざける

わたしたちの体内には2つのエンジンがある

解糖エンジンはいわばスポーツカー、ミトコンドリアエンジンはセダン。エンジンが切りかわったのちも糖質をとりつづけると腸はドロドロに汚れてしまう



みなさん、今日はなにを食べましたか? 主食の置きかえについてお話しした前回、「白米を玄米にかえた」「うどんの買い置きをやめました」などの声が寄せられました。みなさんの積極的な姿勢には、ただただ感心させられるばかりです。

さて、まずはおさらいから。50歳を過ぎたら糖質を制限し、腸がよろこぶ食事を、とお伝えしました。それはなぜなのか。今回はその理由をくわしくお話ししていきます。

わたしたちが考えたり歩いたりできるのは、酸素や食べ物などをとり込み、体内にある2つのエンジンでエネルギーをつくっているからです。それは「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」。どちらも常に同時にはたらいていますが、メインで動くエンジンはある年齢を境に切りかわることがわかりました。その年齢こそが、50歳前後だったのです。

若いときにメインとなるのが「解糖エンジン」。これは糖質を燃料とし瞬発力に長けているため、機敏な動きや疲れを感じたときにすぐさまエネルギーをつくることができます。ですから、若いうちはエネルギッシュに動くためにも、ある程度の糖質が必要となります。



50歳を過ぎたら「糖質」が腸を汚す

いっぽう、50歳前後からは「ミトコンドリアエンジン」がメインに切りかわっていきます。酸素を燃料とし、長時間つづけて効率よくエネルギーをつくれる持久力が特徴。つまり、「長生きのためのエンジン」なのです。このエンジンのおかげで、腸は元気になって免疫力が高まり、病気を遠ざけることができます。

しかし、振りかえってみてください。健康診断の結果が気になったり、周りで大病する人が急に増えたのはいつからですか? おそらく、50歳前後と答えるでしょう。おかしいですね。ふつうならば、医者いらずの生活を送れているはずです。

からだはすでに糖質を必要としていない。なのに、食生活をかえずに糖質をとりつづけると、解糖エンジンがフル稼働。長生きエンジンは正常にはたらけなくなり、せっかくとり込んだ酸素を活性酸素にかえるという誤作動まで引き起こします。活性酸素はすべての細胞をサビつかせ、老化させ、寿命を縮める悪者。そのままにすると腸はドロドロに汚れ、動脈硬化や糖尿病、がんや脳卒中などの深刻な事態を招いてしまうのです。

これが、50歳を過ぎたら糖質を控えるべき最大の理由です。

あなたの腸は大丈夫ですか? さっそく今日から、「長生きエンジン」を動かす3ヵ条を実践しましょう。

すこしむずかしい話もありましたが、確かなのは「糖質が腸を汚す」ということです。はつらつと長生きするためには、今回ご紹介した3ヵ条がポイント。大きく息を吸い、いらないものをイメージしながらフーッと吐き出すと、心もからだも楽になりますよ。


近藤堯の酵素塾

最近、疲れやすくて困っています。近藤会長はいつも元気でうらやましいです。元気の秘密を知りたいので、『野草酵素』以外に飲んでいるものを教えてください。
(茨城県・女性・60歳)

『妙高の乳酸菌』『発酵ウコン』『野草茶』……。開発者ですからすべて飲んでいますが、ここ10年以上欠かさないのが『野草酵素』と『ゲルニン129』。このふたつは相性抜群なのです。
ゲルニンはニンニクや野草、レバーなどの動物性タンパク質が主原料なので、「ぽかぽか粒」とよばれるほど、からだをぽかぽかにします。温められたからだの中で酵素は活性化。さらに、単独でははたらけない酵素を助ける、「補酵素」とよばれるミネラル類も豊富ですし、発酵させているので吸収しやすい利点もあります。
動物性のスタミナ補給が欠かせない50歳以上の方は、からだを冷やさないためにも積極的に召しあがることをおすすめします。

乳酸菌の種類を強調した機能性ヨーグルトが流行しています。ほんとうに、からだによいのでしょうか?
(東京都・女性・39歳)

最近は各社が競いあい、次々と新商品を出していますね。ところが、そういった市販のヨーグルトに含まれる乳酸菌は、純粋培養された、いわばエリート。そんなエリートが、数百兆個の菌がひしめく腸内で生き残れる確率は定かではありません。
そこで、ミヤトウ野草研究所では異なる菌をいっしょに育てる、「共生培養」を採用しています。菌同士が競いあい助けあうことでたくましく育ち、過酷な腸内でも元気にはたらくのです。
かつては、複数の菌を同時に扱うなど言語道断! と言われたものですが、じつは、日本人にはなじみ深い方法です。たとえば、日本酒は酵母菌と麹菌が協力して米を醸す並行複発酵。ぬか漬けも多種類の乳酸菌が共生して複雑な旨味を生みだします。
菌の世界も人間社会と同じく、選ばれたエリートだけでは成り立たないのです。