
常在菌は目には見えないが、全体の重量は成人でおよそ2㎏もある。腸内細菌をはじめ全身の免疫をコントロールしてくれる、頼れる存在なのだ

手をゴシゴシ洗うと
風邪をひきやすくなる!?
本コーナーの連載も、はや5年目。寄せられるご感想を拝見すると、ご自身の腸を大切に思う方が増えているようでうれしい限りです。今年も腸を元気にする方法をお伝えしますので、どうぞおつき合いください。
さて、いよいよ風邪やインフルエンザの流行シーズン。予防のために、1日に何度も薬用石鹸でゴシゴシ手洗いしたり、うがい薬をつかう方が多いですよね。しかし、インフルエンザの患者数はまったく減る気配がありません。それもそのはず。じつは殺菌に励めば励むほど、病気をよび寄せるからだをつくってしまうのです。
以前もお話ししましたが、菌には悪いものもいればいいものもいます。そのひとつが皮膚や口腔内などの粘膜に棲みつく「常在菌」。彼らは肌に膜をつくってうるおいを保ったり、病原菌の付着や増殖を防ぐ、いわば優秀なガードマンです。
つまり、殺菌力のある薬用石鹸やうがい薬などをつかえば、これらのいい菌もいっしょに殺されてしまうということ。たった1回の手洗いで常在菌の9割が失われ、ウイルスや病原菌は侵入し放題。それだけではありません。免疫力を司る腸にも悪影響を及ぼすのです。
流水10秒でじゅうぶん。
「すこしキタナイ」が腸を活発に
先生が石鹸をつかうのは入浴時くらいで、それも2~3日に一度。知り合いの方も風邪知らずになったり、乾燥肌がスベスベになるなどうれしい変化が訪れたそうです。世間の情報を鵜呑みにせず、過度な除菌を見直しましょう。